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■目次 序盤の手引き初心者特典 成長計画 挑戦任務 育成指南 序盤の手引き ● 【チュートリアル(太古の森まで)】をクリアしよう! ● 【初心者特典】をクリアして、ゲームシステムを把握しよう! ● 【成長計画】をクリアして、英雄をたくさん召喚しよう! ● 【挑戦任務】を進めながら、ゲームを攻略しよう! 初心者特典 チュートリアルをクリアすると【初心者特典】が開放されます。 初心者特典の【ガイド】をタップすると、画像付きで任務内容が確認できます。 初心者特典はシステム紹介も兼ねているので、最初にやりましょう! 開放されてから48時間以内に全てクリアすると最終報酬が2倍になるので、早めにクリアしましょう! 確認方法:ホーム画面左側のアイコン一覧にある【初心者特典】アイコンをタップ。 成長計画 ゲームの序盤は、成長計画を進めていくことが主な遊び方になります。 成長計画にはいくつかの段階があり、最終報酬を受け取ると次の段階に進みます。 ● 1段階の最終報酬:伝説召喚書×1個(秩序/混沌/邪悪陣営の★4~5英雄を召喚できるアイテム) ● 2段階の最終報酬:覚醒券×1個(どんな英雄でも覚醒することができるアイテム) ※★5英雄は覚醒の必要素材が最も多いため、★5英雄に覚醒券を使用する事を推奨します。 ● 3段階の最終報酬:光闇召喚書×5個(光明/暗闇陣営の★3~5英雄が召喚できるアイテム) ※段階ごとに2倍カードを購入すると、成長計画で獲得できる報酬が2倍になりますので、ぜひご利用ください。 確認方法:ホーム画面左側のアイコン一覧にある【成長計画】アイコンをタップ。 挑戦任務 ゲームの序盤は、挑戦任務の【高級訓練】を進めましょう。 メインクエストで『ヘイゼ高山』が開放されたら、挑戦任務の【快速LvUP】を進めましょう。 プレイヤーLv.10に到達し『地下城』が開放されたら、挑戦任務の【〇〇地下城】を進めましょう。 地下城の挑戦任務は、ボスの弱点となる状態異常を持つ英雄をフィルタで表示するなど、攻略に役立ちます。 確認方法:ホーム画面下側の【任務】アイコンをタップした後、【挑戦】アイコンがタップしてください。 育成指南 ゲームプレイ中に育成で困った事があれば【育成指南】を確認しましょう。 英雄を強くする方法やアイテムの獲得先などを確認することができます。 確認方法:ホーム画面左側のアイコン一覧を下までスクロールすると【育成指南】アイコンが表示されます。
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「提督にお手紙があるみたい・・・」 「お?そうか、ありがとう」 扶桑から手紙を受け取る いつもの戦績報告書だろうとおもったら・・・母さんからか [元気にしてるか] あぁ、してるよ [飯は食ってるか] 間宮さんの飯はうめえさ、心配いらねぇよ [早く嫁さん見つけてきな、孫が見たい] そう、か・・・いや、心に決めたやつはいるんだけどな・・・ [うだうだ考えてないでぶつかってきな。どうせフラれやしないかとビクビクしてるんだろう?] なぜお見通しェ・・・ まぁ、そうだな・・・踏み出さないと掴めないもんもあるってもんだよなぁ 「提督・・・?あの、どうかしました?」 心配そうに覗き込んでくる扶桑 「なぁ、扶桑」 「・・・?」 きょとんと首をかしげる彼女に 「好きだ、結婚を前提に付き合ってほしい」 「へ・・・?け、結婚・・・?えっと・・・えぇーーーー!?」 思わず驚嘆の声を上げさせるほどの爆弾発言を行った 「え、あの?提督?結婚?結婚ってその、男女が夫婦になって、あの、その、え?え?」 いつものおっとりした彼女が一転してあたふたしている。これはこれで非常にかわいいと思うのだが、少しかわいそうかな 「扶桑、落ち着いてくれ、深呼吸だ」 「あ、はい・・・。すー、はー、すー、はぁ~」 落ち着いたようだ 大げさに深呼吸したようでおっぱいが強調されて実にスバラシイ! ・・・失礼 「あの・・・提督、ほんとうに・・・?本当に私でいいの・・・?」 「あぁ、一目見たときからずっと思っていたんだ。一目ぼれってやつだな・・・」 「でも・・・きれいな子やかわいい子は他にいっぱいいるわ・・・私なんて・・・」 「それに、私たち姉妹がなんて言われているか知っているわよね?あなたまで不幸だなんて呼ばれたら、私は・・・っ!?」 信じられない、そんな風にネガティブな発言をする彼女を抱きしめて黙らせた 「実力行使にでるが・・・俺がこんなことをしたい、と思うやつはお前しかいない」 言いながらぎゅっと抱きしめる 俺よりも背の低い彼女は胸板に顔を付けるようにすっぽりと埋まっている ふわり、と長い髪からいい匂いが流れてくる 背中に背負った砲塔が頭にぶつかってすごい音がしたがまぁ問題ない。鉄板に顔の熱を奪われて意識がぶっ飛ばないで済む 「ぁ・・・、すごい、ドキドキしてる・・・」 「わかるか?これ結構勇気だしてやってるからな?」 「わかるわ・・・顔が真っ赤だもの・・・」 そういってひんやりとした手をこちらの頬に添えて見つめてくる扶桑 その少しうるんだ瞳に吸い込まれそうになる 「ほかの奴?確かにいろいろいるだろう」 「だが、それがどうした?俺はお前に一番心を惹かれてる」 「あだ名は知ってる、不幸姉妹・・・だろう?ふざけるな」 「俺が提督である以上お前らを絶対不幸になんてしてやるものか。過去がなんだっつーのそんなもん鼻で笑って俺の鉄拳という名の主砲でぶっとばしてやる」 普段から思っていたことを一気にまくし立てる そして目をぱちくりさせている彼女にしっかりと目を合わせてもう一度 「俺はお前が好きだ、お前の素直な気持ちを教えてほしい」 馬鹿正直に告白してやった。これでフラれたら俺は回天にでも乗って敵本拠地に突撃してこようと思う 「・・・はい、私でいいなら喜んで」 彼女は涙をたたえながら微笑み、答えてくれた──そして 「私もずっとずっと好きでした・・・もう、離れません」 嬉しさ爆発と言わんばかりに抱きつき返してきた 「~~♪」 ご機嫌な様子でほおずりしてくる扶桑 こんな一面もあるらしい。すごいふにゃふにゃしてる、かわいい、なんだこの生き物 「・・・」 頭に手を置き、髪を梳くように通しながら撫でてやると 「はぁ・・・♪」 恍惚の表情を浮かべてしなだれかかってきた お、おう、その、なんだ、やべぇこっちもドキドキしすぎていろいろと我慢がきかんっ 「扶桑」 「はい?」 「キスしたい」 節操ないな、俺。畜生悪いか初彼女で童貞だったら暴走するしか道はないだろう! 「───」 固まった。まずい、がっつきすぎたか── 「はい♪」 幸せそうにはにかんで答えると 「──どうぞ」 目を閉じて迎えてくれた 一見落ち着いているように見えるが耳まで真っ赤になっているし、肩もふるふると震えている ここで応えなきゃ漢じゃねぇっ! 「──んっ」 「ん、んむ、ちゅっ」 腰と頭に手を回し、抱き寄せてキスをすると彼女から積極的に吸い付いてきた 「ちゅっちゅ、ぁむ、む、ちゅ、ちゅっちゅ──んぅ!?」 「ん、んむむ、ん、ちゅるっ」 負けじと舌をねじ込む。最初は驚いた彼女もすぐに順応してお互いの口内を蹂躙する 「ぷぁ、は・・・っ」 「はっ、ふぅ・・・」 息が続かなくなり離れると、二人の間に唾液で橋ができ、月明かりを受けてきらり、と光る 「いきなり激しかったな」 「だって・・・ほしかったんだもの」 指を合わせてもじもじする扶桑。本当にどこまで俺を萌えさせれば気が済むのだろうこの子は もうあれだ、我慢できん。最後まで行ってもいいよな? みなさんお分かりのことだとは思うが、童貞ボーヤ(愛宕にとてもいい笑顔で言われた)がこんなことをしたら下半身は見事に反応するわけで 扶桑も顔を真っ赤にして所在なさげにしている 「提督・・・あの・・・何か、あたって」 うん、だよね・・・というわけで 「すまん扶桑、抱きたい・・・というか抱く」 「・・・はい///」 ぱんぱかぱーん!すごい、こんな気持ち初めて!もう何も怖くない! 我、夜戦ニ突入ス! いたすにはちょっと邪魔な装備を一旦はずし、お姫様抱っこで布団まで運ぶ。 「あ・・・」 寝かせてやると、恥ずかしさと嬉しさと期待を込めたまなざしで見つめてくる 「その、ゆっくりできないと思うから先に謝っとくな、ごめん」 「・・・ふふっ、大丈夫よ。それだけあなたが想ってくれているってわかっているもの」 やさしく応えられてしまった。さすがはお姉さんか 「じゃあその・・・脱がすよ」 言って彼女の服に手をかける 彼女の手伝いもあり、するりと簡単に脱げ、一糸まとわぬ彼女の身体は 「きれいだ・・・」 「~~~~~っ///」 飾った言葉なんて考えられないほど美しかった 胸や秘所を隠そうとする手を上にのけて、その姿を目に焼き付けながら おもむろに胸に手を伸ばした 「───んっ」 ふにゅっと手でつかんだ分形を変える胸──あたたかくて、柔らかい。 そのままこねるように、また、ふにふにと感触を楽しむように揉んでいく 「ん、ぁ、ひゃ、やん、あ、あ・・・っ」 切なげに声を漏らす扶桑、どうやら痛くはないようだ そのまま触り続けていると、先端部分が固くなってきた。どうやらちゃんと感じてくれているらしい ので、こりっとつまんでみた 「ふああっ!?あ、やっ・・・!?」 ビクン、と大きく跳ねたちょっと刺激が強かったか・・・? 「あぁ・・・ん、ぁ・・・」 少し弱めながらくりくりすると甘い声を上げながらもだえる彼女、どうやらこれくらいがいいらしい おっぱいを刺激すること約10分ほど さっきからもじもじと太ももをすり合わせていることには気づいていたのでそちらも触ることにした 「ぁ・・・ひゃ!?」 胸は一度解放し、両手で閉じた脚を開かせると彼女の秘部からあふれたもので敷布団のカバーにシミができていた 「やぁ・・・みないで・・・」 恥ずかしいとばかりに顔を覆ってしまった扶桑、そのいじらしさに感動を覚えつつ くちゅ・・・ 「ひあぁっ!」 「濡れてるな、ここ・・・」 水源を指でなぞっていった 「あ、あ、だめ・・・そんな・・・はあぁ・・・」 「気持ち良くなってる証拠だよ、俺としては嬉しいな・・・」 「そう、なの・・・?」 「あぁ、だからもっと力を抜いて・・・」 少しいやいやと首をふる彼女をなだめ、本番のための準備を開始するべく指を侵入させる 「あ、あぁ、あ・・・ひゃぁ、あ・・・っ!」 くちゅくちゅと中を刺激してみる奥からとろり、とろりと愛液があふれてくる 「あ、あぁ、ふあ、あああ・・・っ」 「よく濡らさないと痛いらしいからな・・・」 言い訳しながら彼女を攻めたてる 部屋には水音と彼女の喘ぎ声だけが静かに響く 「あ、ぁ・・・提督、なにか、なにか・・・くるの・・・」 「いいよ、そのまま身を任せて・・・」 限界が近いらしい彼女をイかせるために少しスパートをかける 「あ、あ、あ、あああ、あああああああぁ~~~っ!!!」 布団をぎゅっとつかみながらピンとのけぞり硬直する扶桑 どうやら無事イったらしい 「はぁ、はぁ、あ・・・」 脱力し、ぼんやりと中空を見つめる扶桑を前に自らも裸になり覆いかぶさる 「あ・・・」 「本番、するからな」 「はい・・・あなたを、ください・・・」 ギンギンに屹立したモノをあてがい ずぷり 「~~~~っ!!」 彼女の中に侵入した 「くぁ、きっつ・・・」 「う、くぅ・・・っ」 十分準備したつもりだが初めてってのはこんなにきっついもんなのか・・・ 「大丈夫・・・じゃないよな、すまん・・・」 「いいえ、だいじょう、ぶ、です・・・だから、さいごまで・・・っぅ」 痛みに耐え、涙を浮かべながらも受け入れようとしてくれる彼女 「わかった、一気にいくから少し我慢な・・・!」 感謝をしながら、せめて痛みは一瞬に、と腰を突出し一気に突き進む 「くぅあ、あっ・・・!」 みち、ぶち、と肉を引き裂いて行き止まりまで押し込んだ 「はいった・・・!」 「は・・・い・・・」 ふるふると震えながらも笑顔をうかべてくれる彼女 そして、それとは別にぎちぎちと締め付けてくる内部に我慢をできずに 「動くな・・・」 「はい・・・!」 彼女を貪る 「うくっ、あ、あぁ・・・!」 苦悶の表情を浮かべる彼女だったが、こちらが心配して腰を止めると 「大丈夫ですよ・・・?この痛みも、あなたとつながっていることを教えてくれて、うれしいのです・・・」 嬉しいのだと、大丈夫なのだと受け入れられてしまった こうなったら男としてはもう甘える他無く 「んく、あ、うぁっ、あぁぁ・・・っ!」 彼女の身体におぼれていった 彼女と交わり始めてどれくらい経っただろうか 「ん、あ、あぁ、あんっ、ぁ・・・っ」 痛みは薄れてきたようで、甘い喘ぎ声を上げてくるようになった 中の反応も、押し出すような締め付けではなく、もっと奥へ、奥へと引き込むように変化していた こちらの限界は近い。おそらくこれ以上我慢は効かないだろう 「すまない、先に・・・」 「はい、あなたのお好きなように・・・」 情けない話だがその言葉を受け取って 少し乱暴に腰の動きを速めて、俺は限界に達した どぷっ、どくっ、どくんびゅるっ! 「あああっ、あ、ひゃああっ!」 最奥部に押し付け、全部中に放つ 彼女も逃がすまいというように背中に腕を回し、脚で身体を挟みこんで受け止めてきた いわゆるだいしゅきホールドとかいうやつだ 「あぁ、あ・・・あついのが、なかに・・・」 「う、うぅ、くっ」 全部出し切ると彼女の上に突っ伏し 「ありがとうございます・・・」 「それはこっちのセリフだよ・・・」 嬉しそうに抱きとめて頭を撫でてくる彼女に身を任せ、二人一緒に軽い眠りについた 「しちゃい・・ましたね」 「あぁ、そうだなぁ・・・」 「みなさんにご報告はどうしましょう」 「遠征組が帰ってきたらまとめて全員にしよう・・・ただ、山城には先にな」 「えぇ、あの子には祝福してほしいのたけれど・・・」 「難しいかもな・・・でも、認めてもらうさ。俺は二人の仲を引き裂くつもりはまったくないしな」 「わかりました、お任せします」 少しして目を覚まし、抱き合ったままの姿でそんなことを話し今後の騒動をどう収めようか考えたあと せめて今だけはと事後の余韻にひたりいちゃつくのであった
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110 :スターリン ◆Z/sQtK.huo:2014/05/27(火) 21 11 36 ID jVXT24YQ 一応トリップつけました 管理人の人にはどのレスが同じ人か見えるんですよね? 基本書き捨てなんで つけないことにしてるんですが 長門が戦艦棲姫の服を着る話の続きです。 島風です。黒いです。ちょっと凌辱ものかもしれません 吹雪篇 1. 「吹雪、“指輪”は君に受け取ってほしい。俺の礼節をすべて君に捧げる」 吹雪は感極まっていた。何度もこの光景を夢見ていた。立ち上がった彼は、不安そうに縮こまった吹雪の手を取った。 「君だけが特別だ」 抱き寄せる彼に、吹雪はおずおずと身を預ける。提督の手が肩を抱き、もう片方の手が、吹雪の頭を胸元に寄せる。 そうすると、小柄な吹雪はすっかり彼に抱きしめられてしまった。ずっと夢見た場所にいる。吹雪の頬は自然と緩んだ。 彼の胸元に顔を埋め、吹雪は囁いた。 「大好きです、司令官」 提督の指が彼女の頬を撫で、唇をなぞった。吹雪は唇をОの字に開いた。吹雪は舌を指へ絡め、口へ侵入してきた指を嘗めた。 ごつごつした関節を舌でなぞると、かすかな汗の塩味を味蕾の上に感じる。 たちまち、吹雪の体の奥には火がともった。スカートの下で、太腿をこすり合わせる。瞳を蕩けさせた自分が、 淫らな表情を浮かべているとわかった。胸の頂が肌着を押し上げ、淡い草叢の奥が熱を持っていた。指が引き抜かれると、 唾液が名残惜しげに銀の糸を引いた。 吹雪の全身が、彼に蹂躙されることを求めている。引き裂かれ、焼き印を押すように所有物の証を刻まれるのを望んでいた。 そんな内心を見越したように、耳元で提督が囁いた。 「本当に?」 「はい。ずっと前から」 彼を見上げ、吹雪は尊敬と信頼のすべてを差し出した。提督は薄く笑った。古代エジプトの石像に見られる笑顔だ。 彼は片腕を上げ、明後日の方角を指さした。 「あれでも?」 促され、吹雪は陶然と彼を見上げていた目を、彼の示す方へ向けた。とたん、吹雪はかすれた声を咽喉から漏らした。 指先が指し示していたのは、神域だった。そこに集められた死体たちが蠢いている。深海棲艦も、人間の骸骨も、動いて、 叫んでいた。焼け焦げた空母ヲ級が泣き喚いていた。引き裂かれた戦艦ル級が、かつて美しかった自分を呪って噎び泣いている。 憲兵の腕章をした骨が手を伸ばして、助けを求めていた。 吹雪は腰が抜けて、死臭がしみついた砂へ尻もちをついた。震える彼女に、提督は無感情に訊ねた。 「これでも愛しているのか?」 吹雪は、自分の頬がいつの間にか濡れているのがわかった。恐怖に囚われ、彼女は泣いていた。咽喉が焼きついて言葉が出ない。 自分を見下ろす提督の前で、彼女は泣きじゃくった。震える手を伸ばすと、砂に掌をついて、吹雪は力なく平伏した。あてもなく 砂を見つめる目から、涙が何粒も落ちる。 答えなど決まっている。これさえ伝えられたなら、元の、心などない船に戻されても構わない。これさえ伝えられるなら。 「愛しています! それでも!」 それは自身に咎を認める叫びだった。 吹雪は顔を覆って泣き崩れた。月に照らされた死体たちが彼女の背信を責め立てていた。 2. ラバウル基地内には、艦娘たちの居住地区が設けられている。その一つ、吹雪に振り当てられた部屋のドアは閉じていた。 扉にかかっている名札をつまらなそうに眺め、ビスマルクは言った。 「あの駆逐艦はどうしたの? 具合でも悪いの?」 「ここんとこサブ島海域で忙しかったから、疲れが出たんだ」 扉の前に立った摩耶は、ぶっきらぼうに答えた。先日まで南方海域に出撃する艦隊の旗艦を務めていた吹雪は、 部屋にこもって姿を見せていない。摩耶は、吹雪を見舞いに来る仲間たちを宥め賺し、追い返す作業にあたっていた。 それを聞いて、ビスマルクと伊8は楽しげに視線を合わせた。 「やはり、提督が自らお作りになった私たちとは出来が違うわね」 「造物主様の役に立てないなんて、使えない」 摩耶は“妹”たちが見せる傲岸不遜で特権的な態度に我慢がならなかった。こんな連中が姉妹なのか? 自分もかつてこの様だったとしたら、なんて腹立たしいことだろう。摩耶は簡明直截に不快感を伝えた。 「失せろ」 ビスマルクは微笑した。 「ねえ、古い姉妹」 白い手が獲物を狙った蛇のように伸びた。細い指が万力のように摩耶の首を締め上げ、彼女をやすやすと持ち上げる。 摩耶は、うっ、と声を漏らした。息がつまり、摩耶の顔が赤くなる。摩耶を玩具のように引き寄せ、碧眼がぞっとするような 光を放って彼女を見つめた。 「私たちのエサにならないことを提督に感謝するのね。あなたなんか一撃よ」 ビスマルクは摩耶を床の上へ放り捨てた。したたかにタイルに打ちつけられ、つまっていた息が悲鳴になってこぼれる。 伊8が眼鏡の奥から害意に満ちた目を向けた。 「レイテ沖みたいにならないといいね」 伊8は摩耶の前世だった重巡洋艦が、潜水艦の一撃で沈められたことを嘲っていた。要するに、厭味だ。 咳き込む摩耶を見下ろし、ビスマルクは伊8に顎をしゃくった。 「行きましょう。楽しい深海棲艦狩りに!」 二人の艦娘は金髪を靡かせ回廊を歩き出した。軍靴の音を夢の中の音のように廊下に反響させ、二人は遠ざかっていった。 「提督に褒めてもらえるといいなあ」 「役立たずの妹は、私たちの餌食となる定め。気をつけるのよ」 壁に手をつき、摩耶は息を吸い込んだ。これも艦娘になった弊害の一つだ。船でいた時は呼吸なんかする必要もなかった。 わざわざ相手の出方を伺う必要もなかった。だが、やれやれ、最悪の事態は過ぎたぞ。まだ靄のかかった頭でそう思った。 連中、吹雪に興味を失くしやがった、少なくとも当分の間は―― 立ち上がりながら、摩耶はドアを叩いた。 「悪い、吹雪。ちょっと入るぞ」 はたして部屋の主は、ベッドの上で体を起こしていた。先程まで魘されていた彼女は、顔を覆って泣いていた。 摩耶は顔をしかめ、吹雪の傍らに腰を下ろす。 「大丈夫か?」 「嫌な夢。ひどい」 「無理もないか……」 摩耶はベッドのそばに座り、吹雪の小さな手を握った。 「海軍省に手紙を書いた。近く乗り込んできて、憲兵がいなくなったことについて始末をつける筈だ」 「もう出してしまったの?」 「当たり前だろ」 吹雪の声に咎める響きを聴き取り、摩耶は驚いたように言った。 涙に濡れた目で摩耶を見上げ、相変わらず吹雪は摩耶を驚かせるようなことを訊ねてきた。 「摩耶。司令官が好き?」 摩耶は唇を引き結んだ。 しばしの沈黙ののち、彼女は気まずそうに答えた。 「……好きだよ」 「私、司令官のためなら何でもできる」 吹雪は苦しそうに目を閉じた。 3. トラブルが持ち上がったのは、すぐ後だった。 南方海域に出撃したのは、長門を旗艦に、ビスマルク、伊8、加賀、木曾、それに建艦した島風だった。出撃メンバーの名を 書類に書き入れた提督は、執務室の扉を叩くノックに、事務的な声で入室許可を出した。ドアを開けて出てきた艦娘の顔を見ると、 彼はペンを止め、呆れた声を出した。 「島風。まだ行ってなかったのか?」 「提督……」 ドアを閉めた島風は、普段の明るい様子はどこへやら、居心地悪げに身を縮こまらせていた。ドアの前に立ったまま俯いているので、 ウサギの耳は触角のように前を向いて震えている。そんな彼女に提督が疑問を抱く前に、島風は顔をあげた。 いつもの笑顔を浮かべている。 「……造物主様。キスして」 「皆を待たせてるのか? 仕方のない奴だ」 提督は嘆息して立ち上がった。 背伸びした彼女に、軽く唇を合わせる。島風は提督の胸元をつかんでいた。提督が顔を離した後も、彼女はその手を離さない。 「続きは帰ってからしてやる」 「ダメ! 我慢できない」 島風は提督に縋りつくと、若木のような太腿や胸を彼に押しつける。それは幼かったが、男心をそそる仕草だった。 「仕方のない奴だ」 島風に後ろを向かせると、提督は彼女を思い切りドアに押しつけた。島風が悲鳴を漏らすのを聞くと、嗜虐心がズボンの中で 鎌首を擡げる。スカートをつかみ、提督は下着ごと彼女の服を力任せに引きおろした。下半身を晒されると、島風は、 いつになく体を強張らせている。彼女の耳元に口を寄せ、提督は囁いた。 「どうした? ずいぶん今日は固まってるな」 充血した自分を取り出すと、提督は島風の尻に押し当てる。すぐに目的の場所を探り当てる。島風は、ひっ、と呼気をこぼした。 提督はそんな彼女を一気に貫いた。島風は押し殺した叫びをあげた。彼女の奥深くまで自分を埋め、提督は眉をひそめた。 島風は、壁に顔を押しつけて泣いていた。振り向いた彼女の顔は涙に濡れている。 「嬉しい」 囁くと、島風の整った顔はさらに溢れた涙で濡れた。 「嬉しい、提督……大好き……」 泣きじゃくる彼女に、提督は眉をひそめた。 だが、他の艦娘たちを待たせていることを考えると、提督は事務的に対応した。島風の細い腰を押さえつけ、思い切り中を抉る。 いつも彼の作った島風が悦ぶように、熱くなった自分で好き放題に彼女の中を掻き回した。島風は黙って提督の動きを受け入れていた。 小柄な島風を犯すのは、年下の少女を弄んでいるようで冒涜的だった。唸り声一つ、提督は彼女の中に劣情をぶち撒けた。 島風はずるずるとドアの前に崩れ落ちる。 服を乱したまま蹲った彼女は、まるで凌辱された後の様だ。 提督は格好を整えると、彼女が脱ぎ捨てた装備を集め始めた。そして、彼女が自分の言いつけを守っていないことに気付いた。 「島風。ソナーを積んでないぞ。対潜水艦装備をしとけと言ったろう」 島風は無言のまま服を整えている。 提督は眉をひそめた。そして、建艦された島風がつけていないはずの装備ばかりつけていることに気付くと、提督は腕を伸ばし、 彼女の手首を捕まえる。島風は逃げ惑うように彼から顔を背けた。 「……お前は……」 提督は震える声を絞り出した。 「……君は、最初の島風か」 南西海域で彼と出会った島風は、彼から目を背けた。彼女の内腿を、紛いようのない破瓜の血が流れ落ちていった。 艦隊帰投を告げる明るい声が響き渡ったのはその時だった。 「お父様。艦隊が帰投した」 「提督! 帰ったよ!」 長門の愛情に満ちた声に、建艦された島風の自信に満ちた声が重なった。 執務室に一番乗りで入って来ると、建艦された島風は提督に駆け寄ろうと視線を巡らせ、彼の姿を発見する。 「造物主様! 何して……?」 建艦組の島風の声は、小さくなって消えた。 彼女の瞳は、提督に手を取られ、力なく俯くもう一人の自分にくぎ付けになっていた。 提督が何か言うより早く、建艦された島風は状況を察した。顔を強張らせ、もう一人の自分につかつかと近寄ると、 止める暇もあらばこそ、島風の頬を思い切り張り倒す。自分と瓜二つの少女が床の上に倒れると、建艦された島風は、 姉妹たちに振り向き、怒りに満ちた声を張り上げた。 「みんな! このドロップ組、私のふりして造物主様と!」 「やめろ!」 115 :スターリン ◆Z/sQtK.huo:2014/05/27(火) 21 16 20 ID jVXT24YQ 鋭い声が雷霆のように轟くと、建艦組たちは一斉に彼へ跪いた。彼女たちにとって提督の言葉は神託だった。 そんな彼女たちに目もくれず、提督はドロップした島風に向き直る。彼の顔からは血の気が引いていた。 屈辱にまみれ、島風は蹲ったまま泣いている。彼女の前に膝をつき、提督は震える手を伸ばした。 「島風」 「提督……あなたは、ひどい」 手が触れる前に、島風は提督を見上げた。その声に咎める色はない。 「誰のことも大切に思ってない。私たちはあなたに愛してもらえない……あなたの作った艦娘も、 誰か一人が選ばれたわけじゃない……あなたは、誰も大切に思ってない」 彼女は淡々と続けた。 「提督はひどい……みんな、口に出さないけど、そう思ってる……」 もう部屋には、騒ぎを聞きつけた艦娘たちが集まってきていた。島風をしばらく見つめ、提督は立ち上がった。 無言のまま、彼は二人を見ていた艦娘たちに視線を巡らせた。金剛は目をそらした。彼女は普段の天真爛漫さを置き忘れてきたらしい。 提督は他の艦娘に目を向けた。皐月は、利根の陰に隠れてしまった。他にも何人かが提督の目から隠れた。 彼は言った。 「吹雪」 途中からドアの陰に隠れていた吹雪は、電気に打たれたように硬直した。そして、ふらふらと 指令室に足を踏み入れる。ぎごちなく、提督の前へ歩み出る。逃げ出したかった。だが司令官が自分を呼んだのだ。 当然ではないか? 提督は訊ねた。 「今、島風が言ったことは本当か?」 吹雪は答えようとした。だが、息がつまって声が出ない。唇が震える。冷静な声が出せない。叫び出しそうだ。 吹雪は声を出そうと努力した。だが、声がどうしても出てこない。目をいっぱいに開いて、吹雪は提督を見つめた。 彼女は口を開きかけ、そして吹雪と同じ感情を抱いている艦娘たちがそうしたように、結局、足元に目を落とした。 吹雪の視界には、提督の靴だけが映った。 「そうか」 静かな声に、吹雪は罪人のように目を閉じた。 そっけないとすら思える声が落ちた。 「許せ」 4. 「お父様がドロップ組ごときに『許せ』などと!」 「標的艦! 鈍間のあんたが旗艦だったから帰投が遅れたのよ!」 「出来損ないのドイツ艦が! 貴様が何度も外して戦闘が長引いたからだ!」 「私たち高速艦だけなら、さっさと帰投して妙な真似をさせなかったのに!」 建艦組たちは、部屋の外で耳に堪えない罵り合いを続けている。長門も、ビスマルクも、姉妹に向かって悪罵の限りを尽くしていた。 提督が部屋から出てきて、彼女たちに責任はないと保証するまで続けるだろう。椅子に座った提督は目を押さえた。 疲れ切って、彼は息をついた。 「さぞ軽蔑してるだろうな」 部屋の中、彼の傍らにいるのは吹雪だけだった。吹雪が何も言えずに佇んでいると、若い軍人は目を閉じた。 「少し眠る。寝つくまででいい。近くにいてくれ。後は放っておいて構わない」 「司令官……」 吹雪の声には、彼女自身も驚くほどの気遣う色があったが、提督は目を閉じたままだった。 吹雪は自分が泣きそうになっているのに気づいた。咽喉が焼きつきそうだ。このまま帰ったら、二度とチャンスはない。 彼女は決断した。用心深く距離を詰める。吹雪は規律正しく直立した。 「司令官。いつだったか、私にすべての礼節を捧げてくださるとおっしゃいました」 「言ったね」 言質を得た。 「では、こうすれば、私に尽くしてくださいますね」 小さな体が、軽やかに、風のように提督の上に乗った。彼が目を見開いた時には、吹雪の唇が重なっていた。 鼓動を確かめるように、小さな手が彼の胸に添えられる。その手は静かに、弱い力で彼の服を握りしめ、手放そうとしなかった。 吹雪は目を閉じたまま、押しつけるだけのキスを味わった。小説や恋の歌が謳うような、接吻の味は全くなかった。 否。 罪の味がした。 名残惜しげに唇を離すと、提督は茫然と吹雪を見つめていた。吹雪は悲しくなった。瞳に映った自分はひどいものだった。 切羽詰まって、何か言いたそうで、何も言えずに彼を見ている、ただの小娘。提督は苦しげに顔を歪めた。 「君は卑怯だ」 目をそむけ、彼は非難するように言った。 「俺が逆らえないと知ってたな」 「はい。知っていました」 吹雪は微笑した。泣きながら。 「私、司令官のことが大好きですから」 das Ende/koniec/конец/おわり +後書き 118 :スターリン ◆Z/sQtK.huo:2014/05/27(火) 21 22 40 ID jVXT24YQ 母港が一杯なのにレア艦がダブると微妙な気持ちになります あ、次でこのヤンデレ艦娘シリーズ終わりです まとめていただいた方、ありがとうございます 以下、どうでもいい話です 例の人によると俺は色々なことをしてるそうで 全然身に覚えがなくて段々笑えてきました 他のスレでこの名前を見たことある人はご存知と思いますが ダメだったら素直に帰れと言われるか完全スルーのどっちかで まあ、それが本来の形だと思います 以上、どうでもいい話でした これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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アイコンと書かれている部分を image(画像URL,title=画像名,linkpage=図鑑/カード名)とすると 画像リンクを張ることができます。 image()の詳しい使い方はこちらのガイドを参考にしてください。 名称:テンプレート1 レアリティ:☆1 アイコン編集 タイプ・属性 火 レベル 1(10) 入手先 入手先1入手先2入手先3 成長タイプ 普通 攻撃 100(1000) コスト 1 防御 100(1000) 売却価格 100 スキル スキル1
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前回の話 ――提督―― 「提督、まだかかりそうですか?」 「執務は一旦やめた」 「……何見てるんですか」 「家具のカタログ」 「仕事してください」 「家具がなければ戦はできぬと言うだろう」 「言いませんよ」 「ところでこいつを見てくれ、これなんか寒い執務室にはよくないか」 「聞いてください」 大井は呆れた様子をそのままにこちらまで寄ってきて、自分の手にある冊子を覗き込んできた。 なんだかんだ言ってこっちの駄々にも大分付き合うようになったな。 「……『早く出しすぎた炬燵』?」 「ああ」 販売が始まった時期が時期なので商品名は分かるが、今やもう年末だ。 にも関わらず商品名が変わらないところは是非ともツッコミを入れたい。 大井はフローリング一面の執務室の中、 部屋の隅で四角く区切られている石の床、正確にはそこに鎮座する家具に目をやった。 「……あのダルマストーブは?」 「あれは置物だ」 見た目は風情があっていい。 亜炭や薪を使うストーブは空間を暖める性能としても抜群だが、炬燵に入って温もりを得るのもそれに劣らない。 しかし、コンセントにプラグを刺すだけの家電である炬燵と利便性で見比べてしまうと、言うまでもなく炬燵に軍配が上がるのだ。 大井としても暖を得られるのだから反対する理由はあるまい。 暇そうにカタログをぼんやりと眺める大井を尻目に、早速備え付けの電話機で炬燵と床の貼り替えを頼んだ。 …………………… ………… …… あれから数日が経ち、朝になって寄越してきた家具屋の連絡では、これから執務室を数時間占拠するという。 上も必ず遂行しなければならない任務はそんなに寄越してこないので……。 「本日、艦隊の出撃、演習、遠征は無しとする。繰り返す。……」 目の前のマイクに機械的に喋りかける。 「総員、休むなり自由にするといい。以上」 そう締め括り、内線を切断した。 アナウンスしている間も大井は秘書らしく自分より一歩下がったところでじっとしていた。 時刻はほぼマルキュウマルマル。 執務室が数時間使えなくなるのでは執務する気が起きないので、このような判断を取った。 ちなみに機密書類等は全て資料室に移して施錠してあるので問題ない。 しかし連絡は当日の朝ではなく前日に欲しかった。 普段通りに起床して軍服に着替えるなどの身支度が無駄になってしまったではないか。 事前に分かっていれば今日は昼前まで寝ていたというのに。 「ダメです。早起きは三文の得ですよ」 そして釘を刺すこの真面目系部下。 軽い気持ちで寝過ごしたかったとぼやいただけで少し目元をキツくさせている。 まあ心配するな。一度目が覚めた後ではもう寝る気は起きない。 今となっては、その諺にも賛同できる理由があるからだ。 「一緒に出かけないか」 予想だにしなかったというように二つほど瞬きをしてから口を開く。 「……私と、ですか?」 「そうだ」 せっかくの休日だし、起きたなら起きたで有意義に過ごさないとな。 どちらかといえば出不精の自分がこうして人を外出に誘うのは、自分で言うのもなんだが珍しいことだ。 「…………」 大井は黙りこくった。 何か迷っていることでもあるのだろうか。 それにしても、考えに耽って口許に手を小さく添える大井の姿からは 可愛らしさと淑やかさの二つを感じ、これを見ているだけでも大分頬が綻ぶ。 しかしこちらに目を合わせにっこり笑って踊るように出した答えは、弾みかけていた自分の心を絶望のどん底に叩き落としたのだ。 「嫌です」 「えっ……?」 漫画等ならばこれくらい明るい調子の台詞の語尾に音符の記号が添えられているのだろう。いや普段読まない漫画の話はどうでもいい。 何故拒絶する? 他に外せない用事があるなら仕方がない。 しかし嫌などと言われる理由が分からない。 私と出かけるのがそんなに嫌か? もう愛想を尽かされたのか? 何故。 頭で考えを巡らせても心当たりがない。疑問符が解消されずに残る。 心臓がきゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。手が痺れるような感覚を覚えた。 開いた唇が塞がらない。返す言葉が浮かばない。 「……嘘ですよ」 「え」 先よりも力のない声が出た。 ……嘘? 「……あ、あぁ……、嘘ね……、洒落にならんなぁ……」 そもそも嫌いだと言われたわけでもないのに苦しくなった胸に手を当てて落ち着かせる。 はは、と軽く笑って誤魔化そうとしたが渇いた声にしかならなかった。 大井は後悔した念を少し顔に浮かべてから静かに抱きついてきた。 「……ごめんなさい。少しおいたが過ぎました」 「ああ、全くだよ……で、付き合ってくれるのかな」 「……はい」 抱きつくのをやめて一歩下がり、今一度顔を合わせて幾分か明るく答えてくれた。 短い返事だが、これを聞くだけでも気分は大分持ち直した。 「よし、じゃあ私服に着替えよう。お前も好きに着替えてくるといい」 「そうしますね」 へそが見える裾の短い普段の装甲は嫌だろう。まして今は冬の真っ只中だ。 無論あれは自分の趣味じゃない。感想としては悪くないが……ってそんなことはどうでもいいな。 こんな時まで軽く礼をしてから執務室扉を閉める大井を苦笑して見送った。 それから、いざという時のために職場に持ち込んだ幾つかの私服を選ぶために、寝室に戻ることにした。 …………………… ………… …… ――大井―― 絶対に音を立てないよう、閉めた扉に背を預けてしゃがみ込む。 やってしまった。 近頃よく素の表情を見せてくれる提督が面白く、たまにこうして意地悪をする。 提督も本気で嫌がっている様子を見せなかったのでさっきもやってみたが、実行したあとで後悔した。 提督の反応がいつもと明らかに違ったからだ。 嘘と言えども言っていいこととそうでないことがある。 軽巡の軽は軽率の軽ではない。まず今の私は軽巡ではないけれど、軽い気持ちで提督を悲しませてしまった。 提督のあの、全てを失ったような、生気を失ったような顔は見ている私まで苦しくなってくる。 しかしいつまでも後悔している場合ではない。 提督から誘ってくれたのだから、くよくよしてないで精一杯応えてあげないといけない。 何より私も楽しみたい。 そっと立ち上がって自分の部屋へ歩き始めたが、数歩で懸念事項に思い当たる。 「私服、あったかしら……?」 …………………… ………… …… 結論から言うとなかった。 自分の部屋を漁っても出てきたのは、軽巡だった頃に使っていた緑を基調とした服。 そして今使っているクリーム色と深緑の、何故か裾が短い服。 その二種類が三着ずつ出てきただけ。 いずれも支給品だ。私服なんてものはなかった。 思えば編成に入らない休みのときに北上さんと行動を共にするときも、特に着替えるようなことはしていなかった。 「どうしよう……」 急に私服と言われても出てこないので、この二種類から選ぶしかない。 へそ出しの比較的派手な方も嫌いではないが、へそを出して街を歩く一般人はまずいないだろう。 別にこのようなファッションを広めたいわけでもないのに流行の最先端に立ちたくはない。 何より、恐らく目立たなくするために提督は私服に着替えると言ったのだ。 艦娘もあまり目立っていいものではないだろう。 このような幾つもの理由を踏まえて、私は地味な方に再び袖を通した。スカートも黒と見間違える深緑の物に履き替える。 クリーム色の服と違い、裾は並にある代わりに袖が短い仕様のこれを着るのは何ヶ月ぶりだろう。 この部屋を使う私も北上さんもお洒落に気を遣うタイプではないので、姿見という贅沢なものはない。 でも今までそんなものなしでやってきて、提督からも身だしなみで指摘されるようなことはなかったからきっと大丈夫。 部屋の隅に置いてある艤装をちらと見やってから、処女航海の時と似たような緊張混じりの高揚感を胸に部屋を出た。 廊下を歩くと、何人か同僚とすれ違う。 あまり話をしない人は好奇の目を私に向けるだけだが、それなりに関わる機会が多い相手の場合その限りではない。 「……あら?」 私と同じく第一艦隊に所属する、空母赤城さんが足を止めた。 ついさっきのアナウンスが流れるまでに出撃準備を整えていたのか、弓など空母に必要な艤装を携えている。 「大井さん……よね? 前からいる……」 ……ああ、そうか。 一瞬何を言っているのか理解が及ばなかったが、建造等で被った別の私ではないかと迷ったのだろう。 私の格好が以前のものだし、容姿は別個体も一切の違いがないので見分けがつかなくても仕方がない。 「そうですよ」 この人はお喋りが好きというか好奇心が旺盛というか、お姉さんなのに子供のような人だ。 それが赤城さんという人の魅力であり個性だ。無論悪い意味ではない。 だから服装が変わっただけの私に声をかけてきたのだろう。 「今日は出撃ないのよね? 何かあったの?」 そういえばそれについての詳細までは、提督はアナウンスしていない。 しかし提督のやり方に異論はなかったから、あの時も後ろで見ているだけで何も言わなかった。 告知とは重要な情報だけを確実に伝えることが大切だからだ。 私は、さして重要ではない詳細の旨を赤城さんに伝えた。 最初少し真剣だった赤城さんの顔が苦笑に崩れた。 「執務室の改装……って、完全に私情ね」 「そうでしょう?」 「でも大井さんは良かったんじゃないの? 炬燵が使えて」 「執務室以外にも暖房はあるじゃないですか」 「まぁねぇ……。ところで、何故今になってその服を?」 あーやっぱりそれ聞かれちゃうんですか。 というか最初からそれを聞くつもりでいたのかも。 「……気分転換ですよ」 「ふーん……?」 気恥ずかしさを隠し、極めて冷静に返したが赤城さんは納得してはくれなかった。 少し背丈の低い私に合わせて屈み、じっと顔を見つめてくる。 こんなことが前にもあったような気がする。 その時の教訓を胸に、私は目を逸らさずに見つめ返した。 光らせるような真剣な目をする赤城さんは一体何を考えているんだろう。 「……デート」 「!?」 私は勘のいい占い師に秘密を当てられたような驚愕をした。 相方の加賀さんはイメージ通りの鋭い人だが、この人も大概だったらしい。 普段と違うところは服装だけのはずが、そうピシャリと当てられては……。 「……僅かだけど、いつもよりお化粧に気合が入ってるわね」 本格的に占いじみてきた。 銀座のママに倣って横須賀のママとでも名乗ってはどうだろう。 確かに今日の化粧にかけた時間はいつもより二割増しだ。 無意識に私の片足が後ずさった。 赤城さんはニヤッとした笑みを浮かべ、さながら核心を突き止めた探偵のように顎に手を添える。 「まず大井さんってもう提督と付き合――」 「失礼しましたっ!!」 勢いに任せて頭を下げ、赤城さんの横を通り過ぎる形でその場から逃走を図った。 別に追いかけてくるわけでもないのに私の足は小走りをやめようとしない。 心臓がバクバクする。 ああもう。 ただ外出するだけで、面倒臭い。 「……赤城さん? どうしたの、そんなところで」 「あ、加賀さん、あのね……」 …………………… ………… …… ――提督―― ノックされた扉に返事をやり、姿を現した大井の姿を見て驚愕した。 大井の格好は昔懐かしい軽巡の頃のそれではないか。 「……お前、私服持ってないのか?」 「必要だと思わなかったので」 なんということだ。 これくらいの年――実年齢は知らないが――の少女、見なりを気にするはずなのに、大井の姿からその様子は伺えない。 ひたすらに艦娘として練度を高めるため来る日も来る日も演習や出撃をさせていたが、愛の注ぎ方を自分は間違えていたのかもしれない。 洒落する暇を作ってやれなかったことを反省しよう。 任務を減らすのではない。自分が手伝ってやればいいのだ。 財布を取り出して中身を確認し、閉じる。 「……ようし。ならばまずお前の私服を買ってやろう」 「えっ」 「この辺は偶に出歩いているから私に任せろ!」 高揚してきた気分が自分に胸を張らせた。 今日は鎮守府の提督ではないから羽目を外しても何ら問題はない。 「ちょっ提督、私は要るとは」 「まあ一着くらい いいじゃないか。私の我が儘も偶には聞いてくれよ」 「要らないって言ってるんですが」 「金は私が持つし、選ぶのも私だ。大井は何も心配いらない」 「……提督が選ぶんですかあ? センスないもの選ばないで下さいね」 なんだかんだ言って買うなとは言ってこないんだな。 自分だって並みにセンスはあるのだ。ないとは言わせてやらない。 大井の不安がる様子を表した、冬の倉庫で無造作に積まれているボーキサイトのように冷ややかな眼差しも、 普段以上の調子の良さをもって凪いだ。 とにかく、顔も痛くなるほど冷たい風が吹く今の季節に半袖は頂けない。 いつも臍だしの服で出撃させているじゃないかというツッコミは控えてくれ。 あの格好は工廠がさせているのだ。 一言添えてから寝室に戻り、予備の上着を持ち出す。 上着は自分が着ているのと合わせて二着しかないが、黒にブラウンと、どちらも落ち着いた色なので問題はない。 「外は寒いからこれを着なさい」 「……提督の服は地味な物ばかりね」 地味と言うな。 四六時中真っ白な軍服を着ていると嫌でも明るい物を避けるようになるのだ。 背中から上着を羽織らせてやると、肩幅は自分のほうが広いのが改めて認識できる。 肩パッドでも入れたほうがよさげな程度には上着の大きさが合っていない。 手が半分ほどしか出ていない長い袖を見つめる大井にボタンを留めさせる。 サイズは合わなくても寒さは凌げるだろう。膝まで隠すほど長い裾は好都合だ。 自分よりも体温の低い大井の小さな手を引いて共に執務室を後にしていく。 「あっ……、もう……」 「何か言ったかー?」 「なんでもありませんっ」 …………………… ………… …… 艦娘一人だけを私服姿の提督が連れ出す光景はさぞ珍しかっただろう。 明らかに狼狽えていた門番に軽く渇を入れ、家具屋が来たら通すように伝えてから鎮守府を離れていく。 まあこんな形で出かけるのも初めてだから驚くのも無理はないかもしれない。 敷地内での他の艦娘からの視線さえも多かったからな。 歩幅の大きくない大井に合わせて歩きつつ、両手を擦り合わせる。 両手で皿を作り、歯は閉じたまま、しーと息を吸い、はーと皿に吐息を当てる。 それでも暖は得られない。防寒用の手袋は持っていなかったからついでに買っておこうか。 不意に皿の片手に白い手が重ねられた。きゅ、と握られ自分の手が下ろされる。 横を見てみると、前方を向いて目を合わせようとしない一見平然とした大井。 「…………」 だがな大井、私には分かるぞ。緊張を隠そうとしていることくらいな。 そんなにぱちぱち瞬きが必要なほど大気は乾燥していないだろ。 それから平静時よりも顔の血色が良くなっていないか。 しかし自分も何も言わず、歪みそうになる顔の筋肉を引き締め前方を向く。 繋いでいない方の手は上着のポケットに突っ込んだが、繋いでいる手は寒気に晒したまま。 それでも振り払って同じくポケットに突っ込むという考えは起きない。 そのまま足を進め、公道に合流した。 肌を刺すようなこの空気でも人は抗って街を行き交う。 昔から港町の一つとして発展してきた横須賀から人が消えることはなく、むしろ年末ということで普段よりも人通りが多い。 明らかに娯楽目的で出歩いていると見受けられる人達だっている。 特に分かりやすいのは、自分らと同じく手を繋いで楽しげに談笑する成人した男女や家族連れ等だ。 こちらは談笑はしていないが、ちょうど良いので話を振ってみる。 「私達も、夫婦に見えてんのかね」 「……何言ってるんですか。夫婦と見るには年が離れてますよ」 「なら兄妹か親子かな?」 「顔が似てないと思いますが」 「……まあ、恋仲だろうね」 「…………」 異論の消えた大井は何も言わない。 にぎ、と繋いでいる大井の手に力が幾分か送られたのが分かる。 人通りが激しくなってきた。 「……ぶつかるといけないから、もっと寄りなさい」 「変なことしたら帰ってから撃ちますよ」 「ほう? 変なこととは具体的に何なのかな?」 「今してるそれもセク質と言って立派な犯罪なんですよ」 「しょうがない。帰ってからにするよ」 「撃っていいですか?」 「駄目」 一寸劇終えたところで言う通り、肩が触れそうになるまでに寄ってきた。 再び静寂が自分らを包む。しかし街の喧騒が聞こえなくなる感覚が離れることはない。 大型複合店に入るまで繋いだ手を通じて人肌を感じ合った。 …………………… ………… …… 「おお……」 「うわぁ……、すごい……」 荷物を提げて帰投してまず執務室の扉を開けると、玄関のように靴を脱いで上がるつくりになっていた。 靴を脱いで上がるそこは注文通りの畳。やはり実際に目の当たりにすると感嘆の声が出る。 ダルマストーブは位置を変えずに靴脱ぎ場にちゃんと残っているし、そして炬燵も完備だ。 炬燵を退かせれば茶道もできてしまうだろう。和のかほりが強まったここでは時どころか執務も忘れそうだ。 「荷物置いてきたらおいで」 「でも私、北上さんと……」 なんということだ。断られてしまった。 でも今日は執務は休みだし、北上は親友だから仕方が無い。大井は自分だけのものではないから。 偶には一人寂しく本でも読んで、雑魚寝で夢の世界に身を投じるさ。 「そうか……」 「はい」 「…………」 「…………」 「…………」 「……ああもうっ」 不意に声を荒げられた。 素っ気ない顔から力が抜けたように見える。やれやれとでも言いたげか。 「北上さんも連れてきていいなら、来てあげます」 その言葉が聞きたかった。自分の気分は高騰し、顔が綻んだ。 ぐっと握り拳を作る。口調が逸る。 「いいよ! 全然構わないよ!」 「……子供ですか」 「私はいつでも子供だよ」 気分の折れ線グラフは垂直上がりだ。 疲れたような大井の反応にも、テレビでそこそこ前に聞いた自動車のコマーシャルのフレーズを改変して声を低く作り、ビシッと言ってやった。 ……決まった。 私のセンスの良さと共に、低燃費の良さも分からないとは言わせない。 いや、それが流れていた頃はまず艦娘なんてものはなかったか。 「…………」 「……失礼します」 軽く引いてないで何か言ってくれよ。 こんなギャグをかまされても軽く頭を下げてから出て行くところは感心するけど。 おい。 …………………… ………… …… 「提督ーお茶飲みたいよ」 「よし待ってな」 和室とまではいかないにしても畳部屋の素晴らしさに感化された自分は、久しぶりにダルマストーブを稼働させた。 おかげで炬燵の中だけでなく部屋全体が暖かい。 突然の北上の要求に応じてやろうと炬燵を抜けようとすると、大井に制止される。 「私が淹れるわ」 「お前はいつもやってるだろ」 それに偶にはこちらから振舞ってやりたいのもある。 まともな教育を受けている奴に、いい年して茶を淹れられない奴はいないから心配はない。 というか、できなかったら人に茶の淹れ方など教えることはできない。 「そうだよー、それに提督のお茶飲んでみたいじゃん」 「でも……」 「いいから。大井は座ってろ」 二人がかりで不満げな大井を座らせた。 秘書艦としての使命でもあるのか? しかし今日の自分は何一つ提督らしいことはしていない。提督でもなんでもないただの一人の男でしかない。 軍服を着ていない男が提督であるはずがない。 だから一日くらい気負いしなくてもいいのだ。 おっと、何の肩書きもない者が軍施設に出入りはできないというツッコミはなしだ。 大井が北上に茶を振舞いたかった可能性は、やかんを調達しに行こうと執務室の扉を閉めたところで思いついた。 もう遅い。 昼時を過ぎたので間宮は暇そうにがらがらの食堂を掃除していたが、彼女も今日くらい休むべきだ。 厨房から借りて水を張ったやかんを、焜炉を使わずに執務室に持ち出しあえてストーブに乗せて沸かす。 ついでに火室の中を覗き、脇に積んである亜炭をシャベルで放り込む。 二十一世紀になって本格的にこの光景が珍しくなってきたのかと哀愁を誘う。 湯ができるまでの間に、談笑に花を咲かせている二人に混ぜてもらおうと、 急須と湯呑みと茶葉の缶を乗せたお盆を畳に置いてから上がり込む。 ふうと一息ついて座椅子に胡坐で座り、上から炬燵の布団をかける。 すると談笑が中断された。 「提督~……」 北上は何故か苦笑した様子で、文句の一つでも出てきそうな声を投げ掛ける。 器用だなお前。 「お湯が沸くまではお茶は我慢してくれよ」 「いやそうじゃないよ」 北上はじとっとした攻めるような目を向けてくる。 「大井っちが惚気ばっかり聞かせてきてさあ」 「え?」 「北上さん!? 私が言ったのは愚痴で――」 何故そこで大井が慌てるのか。 惚気って。大井は一体何を言ったのか。 「えぇー? とりあえず提督が子供っぽいのは分かったからって感じ……。面白いんだけどさ」 本当に何を喋ったんだ大井よ……。 この鎮守府で築き上げてきた自分のキャラが崩れるようなことはあんまり言わないでくれるとありがたい。 多くの部下を束ねるような立場に就く以上、ある程度の威厳やら何やらを身に纏わなければならないわけで……。 それにしても最近は大井が北上に一杯食わせられる光景をよく見るものだな。 「ああ、うん。すまんな。子供っぽくて」 「そうじゃないってば。提督わざとやってない?」 「クク、わざとだよ」 このやり取りが面白くて、アクのある笑い声が混ざった。 やっぱり大井も北上も癖があって面白い奴だよ。 「……気持ち悪いですよ」 左から毒が飛んできた。眉の下がった大井の弾丸のような目が冷たく刺さる。 しかし、今朝の出来事のように拒絶反応をされるのには弱いが、 毒に関しては何度も叩かれた熱い鉄のように耐性がついているので怯まない。 むしろ柔軟な発想を要する作戦指揮官としては、それすらも逆手に取ってやるのだ。 「気持ち悪いだって……。北上慰めてくれえっ」 勿論このべそかきは演技である。 右の子に向かって両手を広げて抱擁を求めようとする。 あくまでも求めるだけでこちらからいきなり抱き着きに行くような真似はしない。 「しょうがないなーおいでー」 うむ。ノリのいい子は好きだぞ。 北上から許可をもらえば、大井に強気に出る隙を与えることなく北上に抱き着ける。 いや、これで合法的に北上に抱き着けるとかそういうことではなく、これも作戦の内なのだ。 本当だって。 「ううっ」 「おーよしよし」 北上はこちらの考えている内が読めているのか? こちらは抱擁に力や感情までは込めていないのだが、北上が頭まで撫でてくれるとは予想していなかったぞ。 とにかくこうして大井の出方を見る! ……北上の頭がすぐ横にあるので、この体勢では大井の様子は伺えなかった。 「提督、私を悪者にして楽しいですか」 ……大井は冷静だった。ゴルゴばりに冷静だった。 面白くないので次の作戦を即興で考えた。 北上から離れて立ち上がって大井の席へ歩いていく。 そして大井の背後を陣取ってしゃがみこむ。……これもデジャヴだな。 がばっと逃がさぬようそれなりの力で抱きしめた。 「ッ!」 「んー」 大井の体の温もりを感じて癒される。 鼻が後髪にくすぐられる。さらさらでいい匂いがするものだ。 しかし大井は、抵抗しようとしない。 「提督『も』、愛してます」 そこで、大井が普段言う台詞を意味を少し変えて使ってみる。 しかしやはりというか、抵抗する素振りさえ見せない。 それどころか腕に頭を預けてきた。 「提督なんか愛してません」 なんだそりゃ。 それが本心なら抵抗したらどうなんだ。 いや、本当は分かっている。言葉は本心だけを無造作に吐き出すだけのものではないからな。 ちらと北上に目をやるとムッとしたような表情をしていた。 北上のその顔は初めて見るな。 北上を弄ろうとしてこんなことをしたんじゃないんだがな。 まあ目の前で男女が仲睦まじくされたら誰だってこうなるか。 ピー!! ストーブに乗っかったやかんが、北上の心の内を代弁するように勢いよく湯気を吹いた。 やれやれ。時間が経つのは早いな。 北上もいることだし、また今度にしてやろう。 一つ溜息をついて立ち上がり、茶の準備をする。 まず急須と湯呑みに湯を注いでそれぞれ温めるところから始める。 短時間で建水という器に湯を捨てる。 急須に茶葉を入れ、湯を注いで短時間待つ。 三つの湯呑みに均等に茶を一滴残さず注ぎ切って、炬燵の上に置いていく。 「どうぞ」 最後に自分の湯呑みを持ち、息を吹きつつ恐る恐る口にする。 茶の適温は人間の口には熱いから注意が必要だ。 空気を一緒に吸い込みつつ澄んだ黄緑色の燃料を流し込み、ほうと一息。美味い。 「あー美味いねえ」 北上がこう言うとまるで酒を仰ぐオヤジのようだ。 大井は何も言わずにちびちび飲んでいるが、それもまたらしい。 「提督、こういうことは面倒がらないんだねえ」 そうなのだ。 自分としてはこだわりを持った淹れ方だと自負しているが、それでも本格的な茶道は流石に気が向いた時にしかやらない。 でも畳部屋ができたわけだし、偶には気が向くこともあるだろう。 ところで。 「それでは私がいつも面倒がってるみたいじゃないか」 「朝の放送とかすごくダルそうだったけど」 それは朝だからさ。 夜戦馬鹿ということではないが、寝起きに気分は上がらないもんだ。 四六時中だるいような態度は取ってないつもりだぞ。 戦果の獲得は兎も角、一定のラインより落とさずにするところからも自分の鎮守府の運営ぶりを分かってほしい。 また企業等と違って毎週土日を休みにしているわけでもない。 ここまで言うと鬱陶しい多忙主張になってしまうが、普段傍にいる大井なら鎮守府をおざなりにしていないことは分かるだろう? 「まあ……」 おい。 ここで歯切れを悪くするな。ここは即答すべきだろうが。 なにか不満でもあるのか。 「やる気がないとは言いませんが、それと実力とはまた別の話ですよね」 う……。 「執務の進め方とか」 うぐ……。 「あとは作戦の考え方とか?」 北上まで言うか。 「艤装の開発もダメですよね」 それは工廠の連中次第だろ。 こちらは完成しやすい必要資材の配分も資料に記録しているんだ。至って真剣に頑張ってるんです。 ……ここまで駄目出しされたのは久しぶりだ。 こいつ等以外の艦娘とは事務的な会話以外殆どしないのだが、他の艦娘も心の内では不満が眠っているのかもしれない。 湯呑みの底の茶渋くらい沈んだ気持ちで茶を口に運ぶ。 「……そんなに私は向いていないかな?」 「……大丈夫だよ」 北上? 「沈んだ子がいないってだけでも上出来だと思うよ。あたしは」 「……そうね」 大井? 「提督は、よく頑張っていますよ」 ……やられたな。 軍とは関係のない平和ぼけした世間話をする時に見る北上と大井の微笑み。 からかわれていたのか。 こいつ等は揃って思った事を口にするタイプだ。お世辞を言ったような事は記憶にない。 だから突然掌を返すような評価を、理屈でなく勘で信じることができた。 北上が言うように沈んだ艦がいないのは事実だし、大井のこの短い太鼓判の一言にも自分を自信付ける程度には価値がある。 指摘された点はとても改善が難しいが、良い評価もされていることが分かって口角が少し持ち上がった。 「……それならよかったよ」 …………………… ………… …… それからまた、軍と全く縁もゆかりも他愛さえもない談笑が始まり、続く。 だから茶は割とすぐに飲み切ってしまった。 まだ飲むには再度湯を作る必要があるが、もう面倒臭い。 「ねー、提督は付き合う時なんて言ったのか聞かせてよ」 流石にネタの引き出しも少なくなってきた頃に、北上は急にニヤけた顔を作ってそんな事を聞いてくる。 「……そういえばまだだったな」 「え?」 そうだった。まず交際の申し入れなどしていない。 そんな形式ばったやり方など正直要らないと思って念頭にも置いていなかったのだが、 話題に出されたので一応やってしまおう。 疑問符を浮かべる北上から大井に向き直る。 大井はきょとんとした表情で私を見つめていた。 「大井……。私と、付き合ってくれッ!」 そう言って畳に額が当たらんばかりの土下座の姿勢を取った。 しかし真に気になるのは確信している答えではなく大井の反応だ。 いつ顔を上げていいのか教えてくれる観測妖精は……いないか。 「……は」 『は』? これは一体どういう反応かと顔を上げて見ると、大井はちらと北上を気にしつつも端が僅かに上がった口を開いた。 「はい」 ……流石と言うか、やはり冷静なものだ。 こちらとしては面白く慌ててくれる反応を期待していたんだがな。 こうも普通に返されるとこちらが反応に困る。 土下座から上げた真顔のままさて何を言うべきか迷っていたが、顔の筋肉さえ動かす前に、右舷から非難するような声がかかった。 「いやー提督さあ……」 「ん?」 「付き合ってもいないのにそういうことしてたの?」 はて、自分は今日だけで何度このように細めた目を向けられただろう。 備蓄の弾丸を箸でつまんで数えるよりも下らない、そんなことを数えて報告してくれる観測妖精もやはりいないな。 まさかそんなことで北上から非難を食らうとは思わなんだ。 もしや結婚するまではそういうことはしてはいけませんとかそういう古風な貞操概念か。 意外だが侘・寂が感じられる、とても良い心掛けだと思うぞ。 「と言われても、始めに仕掛けたのは私じゃ――」 びしっ。 「い゙っ!」 非難から逃れようとした自分は、北上とは違う方向からかなり力の入った手刀で黙らせられた。 今度は前方の状況を確認する。 さも手刀をやりましたと手を立てたまま取り繕うこともしない大井の姿があった。 やはりというか目が細められているのだが、北上がやったような眉を寄せての分かりやすい表情ではない。 当鎮守府比三割増しと大々的に印刷したラベルでも額に貼ったらどうかと言わんばかりの目を細めた笑顔だ。 その掌に全ての力が入っていると思わせるくらいには、眉間に力が入っていない。 しかしよく見ると口の端がひくひく動いている。 そして瞼が細くなって光があまり差し込まなくなったその眼は笑っていない。 「……まあ、皆が皆北上と同じような考えではないということだよ」 一先ずはこれだけ北上に言っておくことにする。 大井の威圧するような顔の裏には言わないでほしいという意図があることくらい分かるし、 自分も少しふざけたというか魔が差したというか、うん、デリカシーに欠けたな。 図に乗るとすぐこうなってしまうが、反省する気はない。 自分の身を滅ぼすほどの過激なことはしないし大丈夫さ。 「大井っち……」 「な、なに?」 「……まあ あたしはやっぱ、基本そういうのきっちりしてからだから」 苦笑しつつも大井にも何か言おうとして、一旦は納得したのか引き下がってくれたようだ。 自分もいつまでも大井の前で正座していないで自分の座布団に戻ることにする。 「ほう。北上にもそういう予定はあるのか」 「当たり前でしょ。あたしだって一応は女の子なんだよ?」 自分で一応と言っていいのか。 でも北上は普段の調子から垣間見る女の子らしいところがとても印象に残るから、 少なくとも自分はちゃんと女の子だと思っている。 自信持っていいぞ。 「え、そ、そう?」 「大丈夫。北上さんは十分女の子らしいわ。悪い虫に取り憑かれたら追い払ってあげる」 「そうだな。下手すれば私も唾つけてたかもしれない。なんてな!」 冗談を一つかましてニッと笑ってみる。 このあと大井から撃ちますだの悪い虫だの突っ込まれる事を狙ってやったのだが、自分はどこかで計算を間違えていたらしい。 突然北上から照れた笑みが消える。 「……大井っち、いい?」 「大丈夫よ、北上さんなら」 何が? 「じゃあ……」 主語が欠けたわけの分からない質疑応答によって置いてけぼりにされた自分の気持ちなど構わず、 北上がこちらへ四つん這いで近寄ってくる。 そして自分のすぐ横に正座で居座ったかと思えば、あろうことかその頭を肩に寄りかからせてきたのだ。 自分からは北上の黒曜石のような黒髪しか見えなくなり、心の内を語る顔は伺えない。 何を考えている? 「……おい。この話の流れでそれは勘違いされるぞ」 念のため注意しておく。そしてこれは確認の意味も含めている。 それでも北上は離れようとしなかった。 「んー? 好きに取るといいよ」 その返事が一番困るんだが。 自分の察しが勘違いか正しいか、よく考えようとして疲れてくるこちらの事情をせめて重油の涙程度だけでも考えてほしいものだな。 そして更に悩ませることに、いつの間にか音を立てずに近寄っていた大井も北上のように左側でもたれかかってきたものだから敵わない。 ……大井も北上も自分を好いてくれる理由が分からん。 自分は平凡だ。そのうえで人を惹きつける魅力は特にないと思っている。 さっきも言ったが、こいつら以外とは私的な会話が少ないところもそれをよく表していると思う。 自分がどういった話を振ればいいのか分からないのも理由の一つと言えるが。 「んん……」 楽な体勢にしようと擦り付けるように動き呻く大井の声と、警戒心が全く感じられない穏やかな北上の息遣いに邪魔され、 改装されずに古ぼけたままでいる木の天井を仰いで自分に問いかけた疑問は答えが出ないままに脳の深海に沈んだ。 この状況はいつまで続くのか。座椅子の背もたれは、ぎし、としか答えない。 気がつけば西日もいよいよ薄れ、そろそろ明かりを灯したいと思えてきた頃にちょうど腹の虫が鳴る。 食堂に赴くまで自分の体は左右の人肌によって程よく保温された。 …………………… ………… …… 夕食時の食堂の喧騒は外からでも聞こえるほど大きい。 しかし中に入ってみると、入り口に近い席に座る艦娘はまるで学校の優等生が珍しく遅刻してきたかのようにこちらを見て黙った。 「……?」 一先ず気にしないことにしてカウンターの様子を見に行くと、間宮は落ち着きを手放さず慌しそうに動いていた。 厨房の奥を覗いてみると、戦力になる一部の者も割烹着を着用して手を貸しているらしい。 ご苦労なことで、と他人事のように思っていると、カウンター席で大きな存在感を放つ者を見つけた。 「むぐむぐ、……あら、提督?」 赤城だ。 とりあえず厨房係による回収の手が追いつく程度まで皿を積み上げる速度を落としなさい。皿を落とされると危ないから。 「善処します」 食べながら口を開きつつも口を手で隠すところは良しとしよう。 しかし善処するとしか返さない者は大体その気がない事を経験上知っている。せめてゆっくり噛め。 ……決めた。今回はここに座ろう。 「相席してもいいかな?」 「え? ……どうぞ」 なんだ。その間は。 「だって……いいんですか? 後ろのお二人は」 ううむ。やはりどこかのテーブル席を取ったほうがいいだろうか。 ついてきていた大井と北上に振り返り、答えを求める。 「……いいんじゃない?」 「私も、特には」 問題ないな。 ならばと赤城の隣の椅子を引いてどっかと座った。あとの二人も静かに席に着き、左から赤城、自分、大井、北上の順に並ぶ。 再び箸をそれなりの機敏さで動かし始めた赤城の食べっぷりを見て、間宮の手が空くのを待つ。 目の前に並ぶ調理済みの海幸山幸穀物の品々は逃げないというのに赤城のペースは落ちない。 しばらくして間宮が現れた。 「お待たせしました。何にしましょう」 慌しそうなのに間宮のおっとりした口調は健在だ。 そういえば赤城の様子をぼーっと見ていて何を頼むか考えていなかった。 厨房は忙しいというのにこれはいけない。えーと……。 「あ……お二人にはまたあのメニューでも出しましょうか?」 食堂全体を見渡すと忙しいはずなのに、息を切らすような様子をおくびも出さず、 にっこりとこんな戯言まで吐く間宮を見る限りでは全く忙しそうには見えないから不思議だ。 そういうことを全く考えていなかった自分はと言えばまんまと不意を突かれ、首に氷でも当てられたように体がびくついた。 「い、いや、いら――」 「いりませんっ!」 うわ。今度は右に驚いた。 砲撃音とも思わせた大声を張り上げた大井は顔を伏せているが、その横顔は赤いのが分かる。 この大声によって食堂の喧騒は静まり、赤城を含めた周りの艦娘の視線が自分らに集中砲火された。戦況は非常に不利だ。 指揮官である自分さえも、前方と右舷からの先制攻撃によってしばらく動きを拘束されてしまう。 「……あ、とりあえず適当に……じゃない。えー、鉄火丼と味噌汁を頼む」 兎に角間宮を追い払う、もとい作業に戻らせるべく、適当に見繕ってもらおうとして、やめた。 美味ければなんでもいいのだが、それを伝えたら結局あのメニューを出されるかもしれないからだ。 露骨というより隠す気が全くないあれを人前で頂くのには抵抗がある。 「あら、残念ですね。北上さん」 「残念だねー」 おい。お前らいつの間にか妙な同盟でも締結していたのか。 そういえばあのメニューを思いついたのは北上だったか。二人揃ってその生暖かい笑みをやめろ。 この二人が手を結んでいるようじゃ、北上に真冬のアイスクリン過剰供給の脅しも暖簾に腕押しと言ったところか。 「あたしは……、い号定食でいいや」 「かしこまりました」 あとは頼んでいないのは大井だけだが、大井はエンストでも起こしたように動かない。 大井の肩を叩いて問いかける。 「……おい。お前はどうするんだ」 「えっ!? あっ、提督と同じ物で!!」 「…………」 その時歴史が止まった。 「……あっ」 ……というのは流石に過言というもので、 実際のところ自分はせっかく散りかけていたのに再び集まった注目の視線が、どのようにすればまた散ってくれるのか、 脳の燃料とも言えるブドウ糖を惜しげもなく浪費していただけだ。 仕舞いには耳に蜘蛛でも侵入してくるかのような、ひそひそとした内緒話まで聞こえてくるものだからもうやってられない。 顔を伏せたり上げたり大井も忙しい奴だな。膝の上に作った握り拳と肩から力を抜け。 自分で言ってから小さく、あっ、というのは何なんだ。 「あらあら」 間宮よ。戦艦の口癖でも移ったか。 元の雰囲気から似ているとは思うがそこまで似せなくてもいいんじゃないか。 赤城も食べていた物のおかわりを頼み、間宮は赤城が積み上げた皿をいくつか回収して厨房に引っ込んだ。 あんな成りでも意外としっかりしているものだ。 そろそろ部屋中の艦娘の視線は外れてきたが、最初の喧騒は戻ってこなかった。 聞き取り辛い小さな話し声が後ろでいくつも飛び交い、少し居心地が悪い。 天井を仰いでも喧騒は戻らないし、居心地も良くならない。 こんなつもりで食堂に来たんじゃないんだがなあ。 「……あのメニューってなんですか? お勧めなんですか?」 赤城は知らんでいい。お勧めでもない。そんな子供みたいな純粋な瞳を向けても教えてやらんぞ。 恐らく盛り付けるだけだろう鉄火丼と味噌汁はすぐに届いた。 味噌汁は味噌汁で多くの者が嗜むはずだから、きっと作り置きしてあるのだろう。 落ち着きを取り戻した大井の図らいにより、北上の御膳が届いてから三人で召し上がる挨拶をした。 好意で付けてくれたお新香を摘み、早速丼の鮪をタレの通った米飯と共に口に運ぶ。 美味い。甘辛いタレがいい刺激になる。 鮪の赤身からは筋が取り除かれているところが特に素晴らしい。 やはり間宮の作る飯は美味い。これだから自宅に帰る気がなくなる。 丼を持って赤城にも劣らない速度で目の前のご馳走を減らしていると、赤城が飲み込んでから声をかけてきた。 「んぐ。そういえば提督に聞きたいことがあったんです」 「むぐむぐ、なんだ」 一方こちらは腹が減っていたこともあり、口と箸を止めずに先を促す。 「今日は大井さんとデートに行ってらしたんですか」 「んぐッ!」 近くの艦娘からであろう視線が背中にビシバシ当たったり、大井がむせ始めたり、なんとも影響力のある奴だな。赤城は。 その力は戦場で彩雲や先制航空部隊を飛ばしたりする時は遺憾無く発揮してほしいが、ここは戦場じゃないんだぞ。 しかもその後で先制魚雷を放つ重雷装艦に悪影響を与えるのはやめてくれ。 丼と箸を置いて咀嚼したまま、むせてしまった大井の背中を擦ってやる。 ……こちらに顔を伏せて私の袖を摘まんでくるのは無意識か? 「大井さん大丈夫?」 「……ほら味噌汁飲みなさい」 口の中身を飲み込んでから指摘してやると、言われてやっと気づいたように慌ててお椀に口つけた。 「はーっ……」 喉の引っかかりは無事解消されたようだ。大井もやはり不意打ちには弱いものだな。 不意打ちされても動じないようにするにはきっと相当な精神の訓練が必要だろう。自分はやりたくない。 「……で、なんだったか。デート?」 「ええ。提督、今日は出かけていましたよね? それにお二人の服……」 自分は私服のままだし、大井も軽巡時代の装甲だ。この状態で何もない方がおかしいかもしれない。 さて、言ってしまっていいのだろうか。自分は抵抗ないのだが。 大井を見やって答えを求める。 「……いいですよ」 夜伽については言うなという反応を見たが、これくらいなら構わないようだな。 「……行ったよ。デート」 「……へぇ……」 自分で聞いておいてそれしか言うことはないのか。 しかも不審なことに、変な虫でも止まっているのか、目の前に並ぶ多くの料理を見つめたまま食べようともしない。 少し不気味だ。料理にとっては蛇に睨まれた蛙のように、不気味どころでは済まないだろうが。 兎に角は目の前の鮪などを腹に収めることに専念する。 背中に視線がまだまばらに当たる気配を精一杯無視し、食べる速度が落ちた赤城を尻目に自分は最後の米粒を摘まんだ。 大井と北上が完食するまで待ち、まだ終わりそうにない赤城には別れを告げて食堂を出た。 窓に目をやるともうすっかり日は見えなくなっていた。いざこうなると暇だ。 北上は姉妹艦のところへ行くと言うが、大井は着いてきては駄目、と言う。 気でも遣ったのか? 最初大井は着いて行きたがったが、結局すぐに大井が折れた。満更でもなさげな様子が分かった。 …………………… ………… …… 執務室に戻って再びストーブに火を起こし、炬燵の電源を入れ、部屋を充分に暖める。 先に炬燵に入り温もりを得ようとする大井の後ろに自分は腰を下ろし、抱きすくめ、大井から温もりを得ようとする。 北上が見ている時でも往生際が良かったように、北上さえもいないこの場で大井が抵抗することはなかった。 「提督、この手はなんですか? 何かの演習ですか? 撃ってもいいですか?」 しかし、大井は受け入れる態度とは真逆の言葉を放った。 そのギャップが可笑しくて、くす、と笑いが漏れる。 艤装をつけているのならばまずこうして後ろから抱きしめることすら不可能なんだがな。 「提督は最近子供染みた振る舞いばかりで困ります。仮にもこの鎮守府の提督でしょう?」 あのな。私以上に威厳ある役職に就いている人間だって誰しもこういう面はあるんだよ。 そしてそういう面は決まって特定の人物にしか見せないという共通点がある。 こんな提督が嫌だって言うのなら、それまでの信頼を築いた自分を恨むんだな。 「嫌です」 突つき合うような科白を繰り広げながらも、 自分は笑いながらやっているし、大井の声色もまた全く棘のないものだった。 「あっ」 大井は何か思いついたような声を上げたかと思えば腕を振りほどいて立ち上がり、執務室の鍵をかけた。 突然腕の中から消えたその熱源が振り返って戻ってくるその顔は、とても愉快そうだ。 指定席と化したらしい座布団に正座し、何故か炬燵に足を入れようとせずこちらを向く。 「子供の提督には膝枕をしてあげます」 おお。率先してそのようなことをしてくれるとは。 ならば早速と横になって、渋い深緑の枕カバーから伸びる綺麗な膝に頭を乗せる。大井の体はどこの部分も柔らかいな。 ただ、これだけでは部屋の鍵をかける理由が分からない。 しかし大井が突然上半身の装甲のボタンを解き始めた事で、それは明確になる。 やがて装甲の前部が開かれ、中々に重みのありそうなタンクが苦しさから開放されたように姿を現した。 たぷんと揺れるそれに目が釘付けになるのは男としての性であり、こんなものを見せられた暁には子供のままではいられない。 ぐぐぐ、と自分のズボンの中の魚雷が反応を見せる。 「……ぁ」 最初からその気だったのだろう大井は、それに気づいたというよりも気づく前から目をつけていたと思う。 男のモノの変化の過程を異性に見られるというのは、まだ理性が抜けきらない事により恥ずかしいものもある。 だから嬉しそうな反応をするのもいいが、さっさとそいつをどうにかして中途半端な理性を消して欲しかった。 それを行動で示そうとして、自分はタンクに手を伸ばした。 「ッ」 向こうの質素な寝室と違ってこの部屋には暖房器具があるから、この手は冷たくはないだろう。 遠慮なく手を動かす。ただ柔らかいだけでなく張りがあるから飽きない。 飽きるどころかそれだけで満足はせず、更なる一つの欲求が浮かび上がってくる。 揉みしだくのを一旦止め、ぐっと上体を持ち上げて赤子のように吸い付く。 ちゅ。 「んっ!」 やっていることは子供だが、はたして子供が股間をおっ立てたりはするものかな。 そして授乳する母親が、はたして子供の股間を摩ったりなどするものかな。 勿論そんなことはあり得ないよな? 「ん、ふふ……」 背中に手をやって支えてくれるのはいいが、ズボンの上から擦っていじめるのはやめてくれ。直接触ってほしいんだよ。 しかしそれを伝えようにも口はタンクによって塞がれているので、言葉で伝える事は不可能だ。 タンクから口を離すだなんて考えは南西諸島の渦潮にでも捨てている。 一瞬で結論が出た脳内の軍法会議の末、口に含んだこいつを舌で転がしたり突いたりしてやることにした。 「ん、んん……!」 攻めようとする考えで行ったのに、自分の魚雷が愚直にも硬度を増した。 しかし攻めが通じたのか苦しげな魚雷を哀れに思ったか、じー、と独特な宣戦布告の音が耳に入った。 優しくまさぐられ、やっと魚雷が格納庫から取り出された。望み通り、きゅ、と握ってくれる。 最初は所々を指圧マッサージのように指で押されるだけなのだが、魚雷のどこを押されても一定の快感が伝わる。 その刺激によって順調に魚雷は限界まで固く膨らんだ。しかし大井はまだそこまでしかしてくれないようだった。 膨らみきっても指圧マッサージは何の変化もつけられないまま続行される。 仕方がないので口の中のこいつに不満をぶつけることにしよう。 つん、つん。 「ッ……」 ぺろぺろ。ちゅー。 「んん! っく」 やられっぱなしではなく、立派に抗う大井も馬鹿にはできない。 そうして魚雷の硬度を保ちつつ暴発しない程度に巧みに弄られては、潤滑油が漏れてしまうではないか。 だが大井はそれを狙っていたようで、掌を魚雷の先端にぐりぐりと押し付ける。 少量の潤滑油を塗り広げた大井はやっとそいつを扱き始めた。 潤滑油が出てくるのを待つという体で焦らしたんじゃないだろうな。 完全に大井の思うがままにされているだろう自分のそれは、感度を良好な状態まで上げてから急に上下運動をされるものだから、 突然跳ね上がった快感の規模にうまく抵抗できずに口を離してしまう。 「くあっ!」 「うふふっ」 大井はとても愉快そうに笑みを零した。 目の前のタンクに吸い付きたい欲求に少しの反発心を加えて今一度攻撃を開始する。 それからの自分らは、互いに攻撃して攻撃されるという守りなしの一騎打ちが続いた。 大井のタンクの先端も、こちらの魚雷も、物は違うが透明の液体でひどく濡れそぼっていった。 おいしい。気持ちいい。 ちろちろ。ちゅうちゅう。 「ん、っく!」 ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ! 「……ッ! ッ!!」 扱く速度は速い。最早焦らすなどは考えられておらず、ただ魚雷を暴発させようと追い詰めるだけだ。 こちらは誤って口のこれを噛んでしまわぬよう繊細に気を配りつつ愛撫するので精一杯で、正直我慢している力は残っていない。 こちらが我慢できないなら大井も道連れにしてしまう気持ちで乱暴にタンクを吸い上げにかかる。 ちゅうううう! 「んっ! んんんん!!」 ほら、声が高く上がって行っている。 しかしもうこちらは充分健闘した。限界だ。 口をほんの一瞬離して息を吐き出してから咥え、中身が漏れ出るくらいの気持ちで吸い上げる。 ちゅううううううっ! 「んああああっ!!」 びゅっ! びゅるっ! 魚雷は暴発し、視界は一瞬ちかちかして、自分は糸が切れた人形のように口を離して体から力を抜いた。否、抜けた。 大井は最後のところだけ口を開けて啼いたくせに、魚雷が噴出した白い油は飛び散らないようしっかりと手で受け止めていた。 「はあっ、はあっ……」 今はただ息を整えることだけしか頭にない。今日は油がどれくらい出たとかはどうでもいい。 「はー……。いっぱい出ましたね、提督?」 そうか。 「まだできますよね?」 「……ああ」 ついでに言い忘れていたが、この執務室は施錠に加えて部屋全体が防音処理もされていて、とても密談に向いている。 わざわざ寒い向こうの寝室へ行ってからなんて煩わしい。嗚呼、今日布団をもう一枚買っておくんだったな。 現時点でまだ深くない今夜は、このようにしてのめりこんでいく。
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前回の話 ひどい熱帯夜だ。 唯でさえ脂汗が滲み出る程緊迫した作戦が、こんな時に発令されるとは。 やっとの思いでAL、MI作戦が終結したかと思えばこれだ。 手拭いで額やら頬に伝う汗を、彼らの仕業であるかのように鬱陶しく払う。 敵の彼らも中々に頭の切れる連中のようだが、 念には念を入れて最終兵器を出し惜しみして留守番させていたのが功を成した。 骨の折れる作戦だったが、 お陰で秘書艦に待機命令を出し続けた事を糾弾されなくなったのは、果たして喜ぶべきところか……。 何にせよ、睡眠時間さえ大幅に削られたこの作戦も遂に終止符を打つ事が出来たと言えよう。 先程入ってきた通信によると、もう電探には敵艦隊の脈が全く現れなくなったらしい。 だからこうして精神的にも身体的にもガタが来ている体を、 舗装された堤防に精一杯足を踏みしめて支え、艦隊帰投を今かと待ち構えているのだ。 何でもない単なる潮風にさえともすれば倒されそうだが堪える。 艦隊面子は自分なんかよりも余程疲弊しているのだ。 …………………… ………… …… 共に待機していた艦が、早々と担架に重量級戦艦三隻と軽空母二隻を乗せて去って行った。 これまでにない甚大な被害であるが、代わりに旗艦大井だけは被弾を完全に免れていた。 と言うのも艦隊決戦の勝敗を最も左右するのはその旗艦であり、 旗艦にだけは何としてでも被害が及ばないように指揮していたからだ。 何の反発もなく作戦内容を随伴艦に刷り込ませる事が出来たが、やはり心苦しい。 休みたいだけ休んでくれ。あいすくりんを進呈してもいい。 そして今、波打つ堤防の上では自分と第一艦隊旗艦大井だけが残されている。 「…………」 大井は敵艦隊を撃滅させた直後から終始呆然とした様子だった。 いつもの凛々しさはない。 大井の目は焦点が合っているのかいないのか、私の方を向いているのに見ているようには見えない。 「……ていとく?」 魂でも抜けたような平坦な声色だ。 大丈夫か。私が分かるか。 「作戦、終わったんですか……?」 嗚呼、終わったんだよ。 お前ら全員帰ってきたんだよ。 「そう……はあ……っ」 どさっ。 膝から崩れ落ちそうになった大井を、自分の体で受け止め支える。 随伴艦の姿がある今まで懸命に堪えていた物が遂に壊れたのだろう。 尚も崩れそうな程身体に力が入らないらしく、抱え方を工夫せねばならなかった。 密着し、腰に手を回す事になってしまうが許せ。 背の艤装が少し邪魔だ。 「敵、本当に撃滅させられたんですか……?」 それはお前が一番分かっているだろう。 通信でお前が直々に、あるだけの全ての魚雷を敵旗艦に命中させ撃沈を確認したと報告してきたじゃないか。 戦艦には探照灯も装備させていたから見えたのだろう? 「そう……そうよね……」 力が入らない腕を上げて、大井は私の背に時間をかけて手を回した。 私の存在を確かめ、しがみつくように。 大井の両手や声は小さく震えている。 「ごめんなさい、提督……もう少し、このまま……」 分かった。 棟に戻りたくなったらいつでも言うんだぞ。 歩けないなら負ぶってやる。背の艤装の重さが見た目相応でなければの話だが。 「っふふ、提督には無理ですよ……っ」 大井は皮肉って一瞬笑ったかと思いきや、身体で嗚咽を上げる。 「っ……、ふ、……ぅ、ひっく……」 私の背に回された両手は一際大きく震え上がり、 捕まえた物を決して逃がさない具合に落ち着きなくぎゅっと私の背の上着を掴んだ。 きっと大井は、託された大き過ぎる期待と、湧き出る不安やプレッシャーに押し潰されないよう、 自分を保つ事で一杯一杯だったのだろう。 強力な兵器である鉄の塊を背負い、ただっ広い海洋を駆け抜けて来たと言っても、 この震える華奢な肩と、やや細めの腕と、大きくない手をいっぺんに感じてしまっては、 罪悪感がダムのように押し出される。 償いとかそういう事ではないが、出来るだけ落ち着かせようと手から腕まで使って頭を優しく撫でる。 「ぅ……ん、すん……ひっく、うう……」 よく帰ってきてくれた。おかえり。 「っ、作戦が悪い、のよ……、他の艦にっ、あんなに被弾させて、ぐすっ……」 悪かった。悪かった。 …………………… ………… …… 「……ん、……」 まだ窓から明るい光は射し込んでいなかった。 瞼が開き、敷地内の遠い明かりを頼りに最初に入ってくるは、天井を向いて寝息を立てるあの人の姿。 重くなくやけにはっきりした意識を頼りに眠りにつく時の状態がどのようなものだったか、 それは見ていた筈の朧げな夢の内容よりずっと回顧しやすいのだった。 ――なんで離れてるのよ―― この人と私の疲れに疲れきった精神をどう癒すかの審議の結果、 この夜の暑さ構わず抱き合って共に意識を投げ打ったというのに。 この人の体温が離れてしまったら寝心地に違いが生じて当たり前。 魚雷の直径程度に上体を浮かせてこの人の顔に影を落としてみても、この人は睡魔に取り憑かれたままのようだ。 寝返りでも打ったのか。 私よりも睡魔が大事か。 その可愛らしくも憎たらしい顔を歪ませてやりたい、苛めてやりたい、といった欲望に身を焦がす私に罪はない筈だ。 私の安眠妨害の原因は、その安眠をもたらしていた提督そのものなのだから。 再び粗末な布団に身を預け、追いかけるように提督に身を寄せる。 この人の肩に手を添え、自然と目の前に来た耳に風を送ってみる。 ふーっ。 「…………」 駄目か。 しかし逆にこれだけで起きられたらそれはそれでつまらない。 と言うか、まさかとは思うが絶命してはいないか。 とんでもない事を真剣味皆無で考え、再度上体を起こしこの人の心臓部分に私の耳を宛てがう。 念のため体重はかけないように。 とくん。とくん。 そこには、憑き物から解放されたように穏やかな脈があった。 一緒に僅かに聞こえる呼吸も長いものであった。 自然と私の呼吸をそれに合わせると、失われた一体感が少しだけ取り戻せた気がする。 だがまだ足りない。 浮かせている上体からひっくり返した砂時計のように少しずつ力を抜き、遂にはこの人の胸に完全に頭を預けてしまう。 どくん。どくん。 音に同期して私の頭は小さく突かれる。 温かい。 ――よかったですね、私が大型艦じゃなくて―― 重くないようで、この人の鼓動間隔は何ら変わる事はなかった。 思わず永遠に委ねてしまいそうになるが我慢。 そっと頭を上げ、この人の耳元に回帰する。 舌を突き出し、この耳の外周から耳たぶまでを舌先でなぞる。 つぅー……。 「…………」 よっぽど疲れているらしい。 となると、この人がどこまで寝ていられるか興味をそそられるもので、 私がもう一度眠りに意識を投じる考えはもう跡形もなく消え失せていた。 本気でこの耳に悪戯する事を決め、宣戦布告の意味で口付けから入る。 「……ん、ちゅ」 「ちゅ、ちゅく、……ちゅっ、ちゅー……、んん……」 「んちゅっ、はぁ……」 しっかりとした布告になっただろう。 もう伝聞で聞いた真珠湾のような不意打ち攻撃ではなくなった。 この耳に囁きかけ、口内に唾液を分泌させる。 攻撃手段として口付けだけでなく、舐めや啜りやしゃぶりも落としてやる為だ。 「起きないでくださいねー……。……んちゅっ、はぁ、……ふぅぃい、ちゅくっ」 「ちゅちゅ、ちゅーっ、はぅ……、ん、ぺろ、ぇろれろれろれろっ」 「ちろ、ちろ、ふ……ちゅっ、ふ、ぺろぺろぺろぺろぺろ、ちゅっ」 「ちゅ、く、く……、ん、ちゅぶぶぶぶっ、ちゅぱ、はぁ」 「ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、……れる、れる、くぶ、ちゅむっ」 「……ん……」 この人が初めて声とも言えない音を発し、小さく身動ぎした。 流石に音を立てると安眠妨害になるらしい。 だがまだ大丈夫だ。 追撃を行う。 「……ん、じゅる、ちゅるちゅるちゅる、ちゅくっ、はぅ……」 「ちゅっ、ん、ちゅっ、……はぁ、ちる、ちゅくちゅく、ぺろぺろぺろ、ぇろ……」 「はあ……、ちゅ、ちゅぷぷぷぷっ、ふぅ……、ちろろろろっ」 「ちゅるるっ、ちゅぷっ、……はあ……」 「……ふーっ、ふーっ、……うふっ、ちゅぷ、ちゅぷっ、ちゅっ」 「ちゅくちゅるちゅるちゅる、んぶぶ、ちゅぶっ、ん……」 「はあ、はあ……」 その耳は、私の執拗な攻撃によって てらてらと卑猥に汚れていた。 ――これを、私が…… ―― 拙い。 ただこの人の耳に悪戯していただけなのに、勝手に私の身体が、下腹部が、熱く……。 見えない糸で上から操られるように起き上がってこの人の下腹部に跨り……。 ……あら? 「え……硬い……?」 起きているのかと提督の顔を見やったが、目は開いていない。 しかし、殆ど光がない中よく見ると、眉間に力が入っていてどことなく苦しそうな……。 「うう……ん……」 「……ふふっ」 寝ながらでも感じる事はできるんですねえ。 私の大事な場所を下着越しでこの人のアレにズボン越しで擦り付ける。 目を閉じたままで、ここをこんなにするなんて。 まして耳を悪戯していただけなのに。 この人って、本当に好き者だなあ。 私の事など棚に上げてふわふわした頭でそんな事を考えながら、腰を前後に動かし始める。 「んっ、……ぁ、あっ」 やっぱり互いが布で覆われたままだからか、刺激はそれほど強くない。 それでも何も感じないと言うと、それもまた嘘になるのだった。 「ん……、ん、んん……」 身も蓋もなく言ってしまえば、こうデリケートな場所は敏感だから物問わず擦れば反応してしまうし、 この場合だとこうでもやんわりとこの人の熱は伝わるから悪くない。 寧ろ、これくらいだと自分を焦らす事ができて、 私の中の熱が必死に行き場を探す渦潮のようになっていって、下腹部が次第に湿り気を帯びてくる。 「ふっ、ふぅ、っ、ぁ、あ……」 「あぅ、っ、んん、んふっ……」 しかも構造上、それが液化して降りてきてしまえば漏水を止める手立て等ない。 その為に下着という装甲があるのかもしれないけど、 それもまた耐久性と耐水性は高くなく、結局は何の意味も為さなかった。 それならこの行為を止めればいいのだろうけど、 戦意高揚状態の上で私の蕩けた辞書から"止める"なんて語句は消滅している。 それだけでなく、この人が重苦しい喘ぎ声を漏らし、顔をどんどん険しくしていく様を、 しかもこの跨った姿勢から見下ろしていては……。 「っ、く……」 ――私、この人を犯してる―― なんて無防備だろう。 冬のあの日私が初めて夜這いを仕掛けた時は、この人の局部を晒して直接刺激を与えるまで起きなかったけど、 今日もかなり続いている。 こうして跨って前後に擦り付けても起きないのならば……。 「はあ、……っ」 いよいよ無遠慮になった私は、提督の上体に同じ物を重ねるようにして転覆した。 提督の両肩に両手を添え、完全にこの人を覆ってしまう。 私の身体にこの人の鼓動が送られてくる。 それはもう私の絶好調な缶に負けないくらい回転しているのが分かる。 この人の心臓の音を感じるのが私はとても好きだ。 純粋に温かいから、というのも理由の一つだけど、 この人の内側の変化が一番大きく現れる部分だから、という邪な理由もある。 この人の事は細部や奥深くまで知りたい。 これだけでも結構速く動いているが、もっと速める事は出来るのか。 「行きますよぉ……、ん、んっ、ふっ、ふぁっ」 がくがく、と布団ごとこの人の身体が動きそうになるくらいの勢いで艦体を揺らす。 ここまで来るともうこの人が起きるか起きないかの疑問は、遥か後方まで置いてけぼりになっていた。 というか、そんなみみっちい疑問なんてもう雷撃処分でとうに沈んでいる。 夜戦馬鹿という事じゃないけど、 夜戦になると必然的に戦意が上がる私の性質は誰にも、自分にも止められない。 「ふぁ、ぁあ、ああああっ」 焦らしが効き、私はどんどん油を漏らす。 それがこの人の下腹部を汚す。 気持ちいい。気持ちいい。 「あぅ、はああ、提督、提督……!」 ――大規模作戦艦隊旗艦を務めて報酬があいすくりんだけなんて、割に合う訳ないじゃない……! ―― 「提督、提督、もっとぉ……っ!」 欲望が、私の缶を加速させ、暴発に向かって熱を上げさせる。 この人の心臓も、文句の一つでも言いたげに大きく速く私の身体を叩く。 私の大事な場所が擦れ、この人は私に滅茶苦茶にされる。 「はぅ、ぁあああ、提督、ていとくぅ……っ!」 「ふあ! ああっ! ……~~~~っ!!」 この人の身体と重なり合って果てた時、 とうとう暴発した私の缶は大きな脈打ちを最後に機能を暫し停止する。 歯を食いしばってあまり大きな声は上げないように努めるも、歯の隙間から声が漏れてしまっていた。 「っ、はあ、はあ、はあ……、はあぁぁ……」 荒い息を整えようと、必死に酸素を取り込む。 気が付けば、窓の外の空は若干蒼く染まっていた。 それでもまだ、この人は多少息は荒いものの起きていないようだった。 「……マルゴ、マルマル……。起きないなら私、先に行きますよ……」 さて、この後始末をしてから今日の任務通達の受け取りを……。 がばっ! 「!?」 え、何!? 起き上がろうとしたら急に背中を押さえられて……! 「大井ぃ……」 下のこの人が呻くように私を呼び……。 気付けば私は布団に押さえつけられ、さっきまでのこの人のような姿勢にされていた。 「あの……、いつから起きて」 「耳を舐められた時だけでも驚いたのに、まさか私を玩具にするとはね」 大分前から起きていたらしい。 狸寝入りなんかしなくていいのに。 この人は不敵に笑って私を見下ろす。 もう明るくなってきたが、終わっていたと思っていた夜戦はまだ続いているようだった。 戦況も逆転されたかもしれない。 「疲れていたとは言え、放ったらかして悪かったよ……。だから今の続き、どうだ?」 「……っふふ」 「もうこんな時間ですから、一回だけですよ?」 ――だから、一回のうちに満足させてくださいね―― 勿論、行為が一回で済む事はなかった。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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雨、降り続く雨。また、僕は一人になってしまったのか。 帰りついて見れば、夜の帳も降り、待つ人などいないと思った。 艦隊壊滅の報はすでに届いているはずだし、僕一人では次の作戦もままならない。 だから、帰還を告げる気はなかった。 だけど、提督は待っていた。凄い人だ。 誰を待っているのだろうか。山城か扶桑、もしかしたら最上かな。何にせよ彼女たちは幸せだ。 次は何をするのか分からないけど、今日のところは休もう。 踵を返した刹那、雨音の他に音のなかったドックに足音が響いた。 「誰だ?」 当惑、困惑、そう言った感情が分かる。ああ、言わなきゃならないのか。 「時雨、ただいま帰還しました」 聞かれるのは他の娘の無事だろう。そう思っていた僕を提督は抱きしめた。 降り注ぐ水。雨ではなく、暖かいそれに驚いた。菊の紋すらない駆逐艦の無事に涙しているのかと。 良かった、本当に良かったと呟く提督を抱き返し、唇を奪う。触れるだけの接吻。 呉では、幸運は女神が接吻を交わす事で授けると言われているらしい。 僕の力なんて些細なものだけど、できるなら提督には生き延びて欲しかった。だから、何度も何度も接吻を繰り返す。 ああ、そうさ譲れない。譲れるはずがない。 だけど、よく見れば提督の目は虚ろで、僕を捉えてなどいない。 映るのは僕か、それとも誰かの偶像なのか。確かめるのが急に怖くなった。 だから、装備を外して一つに繋がろうとした。今くらいは、僕だけを見てほしい。それはおこがましいだろうか? 僕でない誰かを見ていたら、分かるはずだから。 手始めに提督の全身に接吻を加えて行く。寓話のように唇だけ無事などとはならないように。 額から足の先まで終え、目線を上げればそそり立つものが。良かった。きっと提督は僕を見てる。 一つに繋がり、腰を振り、はたと気づく。どうして提督の手は空を切っているのか。 ああ、そうか。そこにはないものを掴もうとしているのだね。 扶桑も山城も凄かった。僕だけではなく覚えているのだろう。 提督の薄い子種を体の中に感じ、虚しくなる。雨もいつか止むのだろう。けれど、その前に。 装備と一緒に置いた短刀を取り、緩やかに振り上げる。願わくば、止めて貰えるようにと。 崩れ落ちる提督の体を支えれば頭上に降り注ぐ赤い雨。あは、良い雨だ、僕もこれで行けるね。
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前のナイトウォッチとのクロスSSの続き投下します。 っていうか完全にやってるだけなんで設定どうでもいい感じですが。 普通の学生生活を送っていた俺は、ある日学生全員が受ける『適性検査』なる 検査に合格し、あっという間に人類を深海棲艦から守護する鎮守府の一員として、 深海棲艦と戦う力を持つ、人にあって人にあらざる艦娘を指揮する提督となった。 人員は俺一人と聞いてどうなることかと思ったが、艦娘は任務に忠実だし 俺に対してもおおむね好意的に接してくれるので、何とかやっていけそうだった。 ……雷と肉体関係を持ってしまった衝撃的な初日から、早一週間。 「あっ……ん、しれ、い、かん……こう? これで、いい?」 騎乗位で俺のペニスをくわえ込みながら、雷に腰を振らせている。 その動きは滑らかで、下半身だけが別の生き物のようでもあった。 「ああ、気持ちいいよ、雷。腰使いもすっかりうまくなったな」 そう、初日から毎日、執務が終わった後は雷を自分の部屋で抱いている。 最初は寝静まった後であったが、3日目には既にばれていたらしく、叢雲あたりは たまになんとも言えない視線を俺に向けてくる。そのほかの艦娘……3日目にして 既に8人になっていた艦娘達に、昼と晩の食堂で好奇の目を向けられて居心地が 悪かった。 とはいえ、雷とこういう関係になったことに後悔はなかった。人数が増えてみて 改めて思うことだが、艦娘は全員が美少女だ。しかも俺に対して妙に好意的で、 配属された艦娘を目覚めさせるには俺のキスが必要。 そんな環境で誰とも関係を持たずに我慢し続けることが俺に出来るだろうか? 多分無理だ。ならば変態の謗りを受けても誰か特定の相手を作った方がいい。 雷も可愛いしな。 雷はセックスの時は体格差をものともせず、俺のペニスを膣いっぱいにくわえ込み、 一突きごとに甘い声を漏らして身体をくねらせる。 昼間は快活で面倒見がよく、俺にも公私共に何くれと無く世話を焼いてくれる。 そんな女の子が夜は俺とのセックスに夢中になって思うように絶頂させられるのだ。 これが楽しくないはずがない。 「んっ、あっ、しれーかんっ、しれーかんっ! あ、あたし、もうっ!」 騎乗位で腰を振っていた雷は切羽詰った声を上げて、俺の上にぺたりと倒れ こんだ。俺の仕込みで一番奥の感度を開発されていた雷は、突かれるたびに きゅうきゅうと俺のものを締め付けてくれる。。 そんな状態で奥をこね回すように腰を振らせていたから、大きな絶頂を迎える 寸前だった。雷は膨らみかけという感じの小さな胸を俺に押し付けて全身で しがみついてくる。 だが、俺はそんな彼女の腰を押さえつけて、動きを止めさせてしまう。 「ふあぁ……? なんで、イキたい、イきたいの、もう我慢できないのぉ!」 快楽でどろどろになった顔に、懇願の涙が伝う。それを指でついとぬぐいながら、 俺は少し身を起こして雷の唇を奪った。やわやわと舌を絡ませながら、そっと 子宮口を突き上げ、絶頂寸前の状態を維持しながら雷の小さく柔らかな身体を 抱き締める。そのまま有無を言わさずにじっとりと腰を使って、上ることも 降りることも出来ない快楽にさらしてやった。 その状態で数十分責め続けられ、全身を緊張させて絶頂寸前なのに寸止めを 続けられて、視線は焦点を結ばず、とろとろと唇の端からよだれが垂れ流れている。 「んんーー……ん゛お゛お゛ーーー……」 言葉さえも忘れたように快楽にどっぷりと浸かった雷に、ようやくトドメの 射精を一番奥にくれてやる。 「お゛うううぅうううう……んお゛ほおおおぉぉおおおおお」 獣のようなよがり声を上げながら、ずん、という強い突き上げとともに 放たれた射精が、待ちわびていた絶頂を雷にもたらした。びくんっ、びくんっ、 と全身を大きく痙攣させ、体中で絶頂する彼女が可愛くて、俺は雷を抱き締めた。 頭や背中をゆっくり撫でてやると、それが愛撫の役割を果たしているのか膣が きゅんきゅんと反応しているのが分かる。 それが分かっていて、絶頂が長く続くように雷を撫で続け、とろとろと精液を 流し込み続けた。 ぎゅう、とひときわ強く締め付けた後、ふっ、とスイッチが切れるように 雷が失神する。気絶しながらも絶頂を続ける雷の膣でペニスをしごきながらも、 一緒に掛け布団をかぶり、挿入しながら眠りに付いた。 翌朝、珍しく俺が先に目を覚ましたのでキスで雷を起こしてやると、セックス したままなのに気づいて雷が頬を赤くする。 むーと唇を尖らせて、 「しれーかんのイジワル」 と文句を言ってきた。俺は雷の頭を撫でながら、目覚めのキスをする。 「でも気持ちよさそうにしてただろ?」 「それは……だって……」 寝ているときに抜けていた俺のものが、朝立ちと雷の照れた顔で硬く勃起する。 毎日犯してもまだマン汁焼けしていない、しかし一本筋ではなくなって花開いてきた 雷の膣にぐりぐり押し当てる。 「あんっ! もう、こんな朝から……したいの?」 そういいつつ、雷は自分から腰をくねらせ、膣とペニスの粘液をこすり合わせて にちゃにちゃと音を立てた。 「ああ。雷が可愛くて我慢できそうに無いんだ。頼めるか?」 「ふふっ。しれーかんは私がいなきゃダメね……♪」 いつもの口調とは違う甘くささやくような声音は、少女ではなく女のそれだった。 腰を浮かせてクリトリスを自ら弄り、蜜を溢れさせていくセックスに慣れきった その仕草に俺のペニスがさらに硬くなる。つぷ、ぷちゅ、と相変わらずきつい 膣にペニスが押し込まれ、中の愛液が音を立ててあふれ出てきた。 「昨日は上で腰を振ってもらったからな。今度は俺がさせてもらうよ」 それに、遅くなって朝練に間に合わなくなっても悪い。挿入したまま寝転がって 雷を下にすると、その細い左足を持ち上げて深く挿入した。松葉崩しというやつだ。 「んあああっ!! い、いきなりそんなことっ、されたら……すぐイッちゃうぅ!」 寝起きにハードではあるが、さすが艦娘は丈夫と言うことなのか、雷は感じすぎて 失神する以外は体力を理由にセックスをやめたりはしたことがない。 俺はただ射精するためだけに雷の穴を使い、ゴリゴリと子宮口をこね回す刺激に 逆らわず朝一番の射精を雷の膣奥に放った。 「あっ、イッ、く、イくイくぅうううぅ……!」 射精に合わせて雷が絶頂する。これもまた仕込みの成果だ。イッた時の報告も。 とても物覚えがいい雷の頭を撫でて、絶頂を長引かせてやる。 その軽い身体にはめたまま抱き上げて、風呂場で雷を洗いながらもう一回射精した。 さすがに泡踊りはまだ教えていない。ベッドの上でたっぷりする方がまだまだ 楽しい時期なのだった。 俺の仕事はまだまだ暇な部類で、日が出てからでも余裕でこなせる。 未だ鎮守府海域でちまちまと艦隊戦をやっている最中だ。この一週間で既に21人の 艦娘がこの鎮守府に所属することになった。もう限界の5分の1だ。この問題の解決策を 早急に考えて、後は適当に雷と楽しみつつ死人が出ないように適度に戦闘して行こう…… と、思っていたのだが。 朝といっても日が出る前の時間帯に、雷は身支度を整えて出て行く。 下着とか着替えなんかも俺の部屋にある程度持ち込んでいる。まあ毎日夜はここで 俺と寝ているんだから当然の帰結だ。 しかしこの日は少し違った。 「ね、司令官。……あのね? ちょっと話があるんだけど」 「ん? どうした? 装備の拡充とかの話なら昼の方がいいと思うぞ」 「あ、そういうのじゃなくって。えっと……」 珍しく言いよどむ雷が何を言い出すのか、じっと待つ。 「その、司令官と、エッチしたいって娘がいてね、司令官は……その、したい?」 「……は?」 不意打ち過ぎて間抜けに口をあけたままになってしまった。 「あのね、私が司令官とエッチしてるの、皆にばれちゃって。どうだった? って 聞かれたから、ちょっと、……ちょこーっとだけよ? 司令官とのエッチのことを、 皆に教えてあげたんだけど、そしたら、したいって娘が来ちゃって。 あっ、私のことなら気にしないでね? 他の娘としちゃっても、私、司令官のこと 大好きって気持ちに変わりはないから!」 とまあ、こんな感じのことを言われた。 「ううん……そりゃあ、したくないって言えば嘘だけど。でも、俺は別に雷一人を 抱いてて満足してるしな」 「えへへ……ありがと、司令官。でもね、よく考えたら私は司令官を独り占め してるってことだから、皆にもチャンスはあるべきかなって思うの。かわいそうって 言うとおかしな感じだけど……でも、そう思ったの。だから……」 「雷……」 どこまでも、優しい娘だった。雷は、俺のことが好きだという。だったら、この 持ちかけは雷にとって損しかない。ほぼ身体だけの関係とはいえ、俺の相手は彼女 だけなのだから、事実上恋人みたいなものだろうに、それを確固たる意思で他の女と 共有しようというのだから。普通なら気が狂っているといわれてもおかしくないほどだ。 「前ほど、構ってやれなくなるかもしれないぞ」 「うん……」 「俺が他の艦娘に夢中になって、雷の事を捨てちゃったり」 「ううっ……」 じわっとその目に涙が浮かぶ。俺は思わず雷を抱き締めていた。 「ああ、うそうそ。俺はそんなことしないよ」 「うううー……司令官、私のこと忘れちゃ、いやよ?」 まだ薄暗い中できらりと輝くその大きな瞳を覗き込みながら、俺たちはキスをした。 「ったく。そんなに辛いなら独り占めしてればいいのに」 「すんっ……だってだって、こんなに素敵な司令官なのに、目を覚ましたらもう お相手がいました、なんて辛いじゃない」 分かるような、ぜんぜん分からん理屈だったが、まあ雷の意思を尊重するとしよう。 その上で、雷は可愛がり続けるのが俺のせめてもの誠意というところか。 完全に目が覚めてしまったので、しょうがないから着替えて執務室でだらだらと 仕事を始める。食堂は当然まだ開いていないので、自室のお菓子くらいしか食い物は 無い。寝覚めにそんなものを食べるのも気が引けて、低調に仕事をこなす。 ふと窓の外を見ると、ぞろぞろと二列縦隊を組んで艤装をつけた艦娘達が走っている。 2日目から既にやっていた、朝練である。ほとんど駆逐艦と軽巡洋艦しか居ない我が 艦隊だが、二日前ついに重巡洋艦摩耶と鳥海が加わり、だんだんと艦隊らしくなってきた。 質素な見た目にして完全防音の窓越しにも、艤装の重々しさが伝わってくるような ハードなランニングだ。特に駆逐艦の体格の小さい艦娘達は、傍から見るとなんの 児童虐待だと思われるかもしれない。しかし彼女たちはそれを毎日朝飯前にこなす。 いかに航行能力があるとはいえ、身一つで何時間もたちっぱなしの姿勢で移動と 戦闘をこなす艦娘ならではと言えるだろう。人外の力を秘めた存在だ。 だが、年頃の女の子でもある。厳しい訓練と実戦を日々こなしながら、提督の 情事事情で盛り上がり、あまつさえ実際に肉体関係を結ぼうというくらいには 向こう見ずな所があるのだ。 俺はため息をついた。 誰が言い出したのか知らんが、満潮あたりはとんでもなく冷たい軽蔑の視線を 浴びせてきそうだ。雷から言い出した、などと言い訳をしようものなら 「ふざけんじゃないわよ! それぐらい断りなさいよ!」 とか言われるに違いない。 しかし実際、誰が俺とセックスしたいなどと言い出したのだろう? そして一体、誰が相手として来る事になるのだろう。 と言っても、言い出すやつなんか一人くらいしか思い当たらないから、多分 そいつが来るだろうとは思うのだが。 「ま、何にせよ艦娘達の好きにさせてみるか」 何せ、戦うのも艦娘、資源を調達するのも艦娘。俺はと言えば、誰をいつ任務に 就かせるか、いつ入渠させるかの判断位しかしない立場だ。やりたいと言うのなら たとえ100人相手でも擦り切れるまでやってやろうじゃないか。そう開き直って、 朝飯までの仕事を再開した。 昼飯時になって、俺は秘書艦に遅れて食堂に足を運んでいた。 今朝からの出撃で、三人目の重巡洋艦青葉と、雷の姉妹、駆逐艦電を艦隊に迎えた。 これで23人だ。本当にほいほい増えることだ。 困ると言うことは無いが、しかし最大に達する場合や、もし……艦隊に居る艦娘と 同種の艦娘が来た場合の処遇を未だ決めあぐねている俺にとってはこの拡大路線は ちょっと不安でもある。 「あっ司令官! 隣、いい?」 時間が合ったのか、雷が近づいてきて隣に座った。隣にはよく似た少女が トレイを持ったまま所在なさげにたたずんでいる。 「おお、いいぞ。電もどうぞ」 「は、はい、なのです」 かちかちに緊張しながら、栗毛をわずかに揺らして電が雷の正面、俺のはす向かいに 座る。ちらっと俺の顔を見たかと思えば、顔を赤くして目を伏せてしまった。 「もう、電ったら、照れ屋さんなんだから! ほら、司令官に挨拶、するんでしょ?」 「わ、わわっ、雷ったら余計なこと言わないで欲しいのです!」 そう言って雷を睨んで頬を膨らませる電。 「挨拶? は、もうしたと思うんだけど」 キスをして起こした直後に、「どうか、よろしくお願いいたしまひゅ!」と 可愛らしい挨拶をもらっていた。やってしまったとばかりに顔を真っ赤にして俯く 電の手を引いて、施設の案内や引率役の神通の元に連れて行ったのを覚えている。 「はわわわ、それは無しにして欲しいのです! いまっ、今の挨拶がはじめてなのです! いっ、電です。どうか、よろしくお願いいたします」 手をぶんぶん振ってかき消すような仕草をしてから、赤い頬で電が挨拶をした。 「ああ。よろしくな、電」 苦笑しながら、俺も挨拶を返す。 その後の食事は、取りとめも無い話をしてすごした。食事のメニューが増えてきて うれしいだとか。ついに売店が出来たが、現金では無く一日幾らか溜まるポイント制 なのだとか。そこで牛乳を売っていることを知って電は嬉しがっていた。 ちなみに艦娘の給料というのはどうやって支払われるのかと言うと、実は俺は 関与していない。勤務の実態については、実は執務室の端末から逐一確認できた。いつ、誰に、 どんな任務を行わせたかと、その結果。もちろん基地で訓練と言うのも記録されている。 だが、給料は艦種ごとの基本給と、任務の成果に応じて自動的に算出され、支払いも また指定の口座に月ごとに振り込まれる。らしい。まだ一度も給料日が来ていないが。 ともあれ、俺は艦娘の給与までは決める立場には無いわけだ。任務の振り分けを 偏らせることである程度は操作できるが、やる意味もあんまり無いだろう。 今のところ艦娘の皆も、そこまで給料にこだわっている風ではないので、俺もまだ さして考えは持っていない。 「ごちそうさまでした」 「ごちそうさまでした。雷、私は午後一の遠征だから、先に行くね」 「うん。行ってらっしゃい、電」 「がんばってな、電」 「はい、なのです!」 にこっと微笑んで、電が先にトレイを片付けに行った。 「あのね、司令官。朝言った事なんだけど、いつもと同じように、夜ごろに司令官の 部屋を、その娘がパジャマで枕を持って尋ねるから。……やさしく、してあげてね?」 真昼間からなんともアレな話題を出されて、俺のほうが面食らってしまう。 「お、おう……本当にやるのか?」 「もちろんよ。今だって三人もいるんだから」 「三人!? 多いな……」 「ふふっ。それだけ司令官の魅力に気づいてるってことよ。まだまだ増えるかもね」 雷の言葉は適当に聞き流すとして、しかし三人。 今食堂にほぼ全員が居るということは、さっきからちらちら向けられる視線の中に 俺とセックスをしたがっている艦娘のものが混じっているかもしれないということだ。 そう思うと、なんとも背徳的な感じがする。 果たして、俺が艦娘を食い放題なのか、艦娘が俺をつまみ食いしているのか。 日に日に増えていく艦娘に囲まれながら、そんなことを考えていた。 午後の出撃によって、またも艦娘は二人増えていた。 軽巡天龍と、水母千歳だ。初の航空機使いである千歳は、データベースによれば なんと5段階改造が用意されているようだ。出世魚のような奴だ、と思ったがさすがに 面と向かっては言わなかった。 それよりも、初期化前に眠っていた天龍と千歳を見たときのことを思い出す。 二人とも、相当に胸が大きかった。しかも寝ている状態でもつんと天に向かっていて、 すさまじい存在感を放っている。雷の膨らみかけの乳首を吸うのも悪くは無いが、 やはりああも大きいと意識が吸い寄せられざるを得ない。 目を覚ますまでに一揉み、と思わなくも無かったが、さすがにそれはひどいと思って 踏みとどまった。 そんなことが昼間にあったので、今日のお相手にはかなり激しくやってしまうかも 知れない。そわそわしながら待っていると、雷よりだいぶ早い時刻にノックがあった。 まだ九時だ。もしかして何か非常事態か、と思いながらすぐさまドアを開くと、 「し、しれい、かん……その……あの……」 真っ赤な顔の下半分を枕で隠し、淡い水色のパジャマを着た初雪が立っていた。 「え、ええと……」 まさか初雪とは。 どこか気だるげな雰囲気を漂わせて、ゆるいというかのんびりした感じの言動を する艦娘だ。しかし、仕事ぶりが他の艦娘に劣るということは無い。単純にそういう 個性なんだなと受け入れていたが。 ぞくり、と何かがこみ上げてくる感覚がある。 雷とはまた違う意味で、およそ厭らしい事とは縁遠そうな娘が、俺に抱かれに来た。 その状況は、思った以上に俺を興奮させた。 「どうぞ」 扉を大きく開けて、微笑みながら初雪の顔を見る。 半分どころか顔全部を枕で隠す勢いの初雪は、激しい葛藤に襲われているのか、 目元も耳も真っ赤にして、全身をふるふると震わせている。足の震えなど、今にも へたり込んでしまいそうだった。 だが、俺はもう初雪をそのまま帰す気がまったく無い。自ら望んで部屋に入るなら よし、逃げ出そうとしたらその瞬間に引っ張り込む気まんまんだ。 「あ、う……」 初雪は、数分をかけて小さな小さな5歩を踏み出し、俺の部屋の中に入った。 そっとドアを閉じ、カチャリと音を鳴らして鍵をかける。 「ひうっ!」 たったそれだけでびくりと跳ね上がり、今にも泣きそうな目で俺を見る初雪。 半ばそれを無視して、夜風で冷えたその小さな肩を抱き、ベッドまで連行……いや エスコートする。 腰が抜けるようにすとんと初雪がベッドに座り、スプリングが鳴った。俺は彼女に 密着するようにすわり、肩を掴んで抱き寄せる。 「……初雪は、今日何をしに来たんだ?」 耳元でささやくように言ってやると、枕を掴む指を震えさせながら、か細い声で 「えっ、えっちな、こと、ちょっと、興味、あった、から……そのっ、他にもっ、 したいって子、居たから……釣られて、手を上げちゃって、じゃんけんで、わたっ、 私が、さいしょに、なっちゃって」 しどろもどろに初雪が経緯を話してくれる。だが。 「そうじゃ、無いだろう?」 「っ……!」 耳たぶを愛撫するように、唇を這わせながらささやく。 びくりびくりと、一言喋るごとに震える初雪は、まさにまな板の上の鯉だった。 「何を、しに、来たんだ?」 「あう、あうう……」 ふるえのあまりかち、かち、と初雪の歯が音を立てる。 「え、え、えっ、ち、なこと……」 ここで沈黙を選ばないあたりは、さすが普通の女の子ではなく艦娘というところか。 「もっと、具体的に」 「ぐた、い、てき? え、えと、えっと」 だが、さすがに混乱しきった頭では思考力は落ちきっていた。 なので、俺から『正解』を教えてやる。 初雪は千切れるんじゃないかというくらいに枕を強く抱き締めた。 「っ……せっ、せせ、セックス、しに、来ました」 「んんー。よく聞こえないな。枕越しだからかな」 露骨に首をかしげて、聞こえない振りをする。同時に、初雪のガチガチに力のこもった 両手に優しく手を重ねた。 「はっ、はぅ、ううっ」 緊張のしすぎで思うように動かないのか、ぎしぎしと軋む音が聞こえそうなほどに ぎこちなく、震えながら初雪の顔から枕が離れていく。 「せっ、くす、しに、きまし、た」 言うだけ言って、がばっとまた顔をうずめてしまった。 「よく出来たな、初雪」 ほほえましくも、劣情を煽る仕草だ。肩を抱いている手を滑らせて、パジャマ越しに 初雪のふくらみに手を伸ばす。 「っ!」 息を呑む音がしたものの、抵抗は無い。 初雪の胸は、決して大きくは無いもののちゃんと膨らんでいて、さすがに雷よりはある。 撫で回すようなほんの少しの力で、その柔らかさを味わう。手の平の一点に、ぷにぷにと した盛り上がりがあり、その中心に硬い部分がある。 もう片方の手も使って、両側の乳首をくにくにと摘んでもてあそぶと、変わった感触に 気が付いた。乳首の周りの乳輪までぷっくりと盛り上がっているのだ。 雷のものとは明らかに違うそれに、新しいおもちゃを得た思いでもてあそぶ。 「あっ、んっ、んふっ、う」 少し力加減を強くしたり弱くしたりするだけで、初雪は全身を痙攣させて感じ始めた。 下手に枕を抱いているから、脇が空いてしまって弄られたい放題だ。 「乳首、気持ちいいか?」 左右を交互に引っ張ってやりながら耳元でささやくと、こく、こくと頷いた。 尻をもぞもぞさせて腰をくねらせて身もだえする初雪は、何も知らない少女から 急激に女になっていくようだった。 そうやって胸を揉んだり乳首をもてあそんだりしているうちに、初雪の身体が じっとりと汗ばみ、温まってくる。枕を顔に押し付けたままだが、その両腕は さっきより脇を開き、もっと触って欲しいと催促しているかのようだ。俺があまがみを 続けている耳を差し出すように首を少しかしげると、さらさらのストレートヘアが 綺麗に流れて滑らかなうなじまでがあらわになった。耳から口を離し、今度は首筋に 顔をうずめてキスをする。 「ふーっ……ふーっ……」 愛撫の快楽にすっかり身をゆだねた初雪は、とっくに震えを止めてリラックスしきった 深い呼吸を繰り返していた。 瞳を潤ませ、眠たげにも見えるようにまぶたが落ちかけている。 頃合だなと思い、初雪をベッドに押し倒した。 お互いに無言だ。 しかし、仰向けになって横方向に持ち替えた枕で口元を隠した初雪が、俺と目を 合わせて、物欲しげな熱い視線を送ってくることに俺は満足した。 身を起こし、未だに横向きになっている下半身を、ひざを掴んで上に向かせる。 そのまま、がぱっと股を開かせた。 「うぁっ……!」 反射的に初雪が脚を閉じようとするが、力で押さえつける。艦娘ならあるいは 俺程度は跳ね除けられるかと思ったが、初雪は観念して股を開かせるがままにされた。 驚くほど柔らかいその股関節は、背中をベッドにつけたままにぴったりとM字に開脚 できた。手を離してもそれが戻らないことを確認し、おれはパジャマのズボン越しに 初雪の秘部を手の平で包み込むように触れ、ねっとりと撫で回した。 「ふあっ、ああっ、んむぅ、んんーっ!」 すぐさま上がる恥ずかしい声を、枕に押し付けて隠す初雪。だが、枕を掴んでいるから 股間は完全に無防備だ。どんどん熱くなるその秘所を、今度は人差し指一本で撫でる。 「んっぐ、んんっ!!」 二枚の布越しにも熱く湿った感触が感じられる。くち、と粘液が音を立て始め、 割れ目を撫で回す指でクリトリスの硬い勃起を探り当てた。 躊躇無くこね回す。 「~~~~~~~!」 背をのけぞらせ、声にならない悲鳴を上げて初雪が痙攣する。 少しだけ力を弱め、絶頂後の余韻を長引かせてやると、腰をうねらせて俺の指の動きに あわせてきた。膣口辺りを指でぐりぐりと押し込んでやると、熱く湿っている。 「下着どころか、パジャマにもしみてきているな」 そう言っても、絶頂でのけぞったままの初雪は反応せず、荒い息をついているだけだった。 そろそろ俺も我慢できなくなってきた。初雪が放心している間に服を全部脱ぎ、 さらに初雪のズボンもパンツごと脱がす。雷は生えていなかったが、初雪には産毛のような ささやかな陰毛が生えていた。痴丘もふっくらとして表面の濡れそぼった肉が余裕で摘める。 それで居てぴったりと閉じた一筋の女陰は、子供とも大人とも付かない不思議な魅力を感じさせた。 のけぞったことで顔から外れた枕をさっと取り上げて、背中側に放り投げる。 「あっ……」 初雪が驚いたような声を上げるが、まだ余韻が残っているのか反応は鈍い。俺はその小さな 身体にのしかかり、唇を奪った。 「んむっ……ちゅっ、ちゅぱっ……」 何の抵抗も無く俺のキスを受け入れる初雪。とろりとまぶたが落ち、赤子が乳を吸うように 無心に唇を吸いたててくる。ちろちろと唇を割るように舌を差し入れてやると、 それに反応して口を開けてくれた。すぐさま初雪の口の中に侵入し、その小さな舌を味わう。 しばらく続けていると、初雪の方からも俺と舌を絡めてくれるようになった。 技術も何も無く、初雪の舌は小動物がじゃれ付いてくるかのように粘膜をくっつけてくる。 初めての初雪からのアプローチに、俺の股間も痛いほど勃起していた。 腰を少し前に突き出すと、初雪のマン肉が亀頭になぶられて柔軟に形を変える。ぐりぐりと 竿の部分をクリトリスに押し付けて、ピストン運動のように腰を使って敏感な部分をこすってやる。 「うんんっ! んむうぅっ! んんーーーーっ!」 抱きすくめられ、唇もふさがれた初雪は身もだえするしかない。いつしか舌はぴんと伸び、俺の 口内に入っていた。大きなクリトリスだと思って吸い付き、舌で愛撫してやる。 腰の動きを強めてやると、ついにぽろりぽろりと涙が伝っていった。と言っても、俺と腕を絡め、 クリトリスをこすりつけるように腰を振っている初雪が嫌がっているということは無いだろう。 大分出来上がってきた初雪の様子に、俺は唇を離し腰を止めた。 「ぷはっ……はっ……はぁーー……」 初雪は俺が離れても、ディープキスしたときのままで口をあけ、舌を突き出している。潤んだ瞳は 続きを切望しているようで、顔は真っ赤に紅潮し、抱き締めて欲しいと言うように腕を俺に向かって 差し上げている。 普段の彼女とはまったく別人のようなその様子に、綺麗だと思うのと同時、男として誇らしくもあった。 「ん、おねがい……します」 ぽつりとそう言ったのを合図に、俺は初雪のふくらはぎを掴んでV字に思い切り開脚させ、濡れそぼった その処女穴にペニスを突き入れた。 「んっ、くっ……」 さすがに顔をしかめているが、ぷつんと軽い感触と共に狭いながらもぬかるんだ膣を掻き分けていった。 程なく、俺のものが全て納まる直前に初雪の最奥に突き当たる。力を入れて押し込むと、 びくりと初雪が痙攣し、膣全体に波打つような締め付けが起きた。 「そこ、だめ……つよすぎ、ます」 らしいので、腰を引いて子宮の位置を元に戻してやる。 「どうだ? 初雪。俺のを入れた感想は」 一週回っていつものようにぼーっとした表情で息を整えていた初雪に、竿だけをぴくぴくと動かしながら たずねてみた。 初雪は膣の感覚に集中するように目を閉じて、熱い息を吐く。 「ん……司令官の、あつくて……おっき……私のなか、いっぱいで……ふわふわして……すごい」 夢見るようなうっとりとした口調でそんな答えが返って来た。じっとしている今でも、既に気持ちよく なってきているのか、膣の中がうねり、初雪の腰がゆらゆらと動き始める。 「ふうーーーっ、ふっ、はぁーーーーーっ……」 性の快感を貪欲に受け入れていく初雪をもっと見ていたくて、じれったいほどにゆっくりと腰を使い始める。 初雪の狭い膣がぴったりと吸い付いて、ゆっくりと抜けていく俺のペニスに限界までしがみつき、ぷりっ、と 一気にこすれて戻っていくのが分かる。 「んおっ、ふうぅ、うぅううううんっ!」 一旦奥の方が限界まで伸びきれば、後は腰を引くたびに雪崩のように亀頭を撫でてヒダの位置は戻り続ける。 初雪はその激しい快感に全身を震わせ、唇を突き出して漏れ出るようなよがり声を上げた。 入り口近くまで戻すと、少しだけ早く腰を突き出してまた奥へと突き込んでいく。 「うあっ、あああーーーーっ!」 その激しい性感に、またも初雪が切ない声を上げる。 それからしばらく、同じ調子でねちねちとピストンを続けた。抜く時にも引く時にも気持ちよさそうな声を あげてどんどん高ぶっていく初雪は、もうセックス以外のことを考える余裕もなさそうに、開いた口から よだれをたらし、涙の跡を複数作っている。視線は真正面に向いているだけで、何も見ては居なかった。 「きもち、良いか? 初雪」 強すぎると言われていた一番奥、子宮口にペニスを突きたててぐりぐりとにじりながら声をかける。 「きっ、きもひっ、いっああああーーっ! うぅうーー!」 何の前触れも無く絶頂し、全体にぎゅうぎゅうと搾り取るように膣が締まった。 「くっ……こらこら、ダメじゃないか。イくときはちゃんと言わないと」 「い、く……?」 どうやら本当に知らないようで、朦朧としながら聞き返してきた。 「そうだ。さっき、こうっ、したときに」 「うあああーーーっ!」 もう一度ごりごりと子宮口をいじめてやると、また達した。 「ほら、特別に気持ちよかっただろ? こういう感覚をイくって言うんだ」 「い、く……私、いっ、っちゃった」 「そうそう、正しく使えてるぞ。じゃあもう一度」 「ああーーーーっ!」 絶頂の余韻が消えない初雪に、何度も何度も、子宮口イキを覚えこませる。 「ほらほら、イクってちゃんと言わないと」 ぎゅうぎゅうと締め付ける初雪に射精しそうになるのをこらえて、俺はひたすらに責め続けた。 「むっ、り、あたまっ、まっし、ろに、なって、きもちいっああーーーーっ!」 「出来るまでいつまでも気持ちよくしてやるから、安心して練習していいぞ」 そういいながら、初雪の一番奥をかき回すように腰を揺さぶる。 「いっ、いううううぅうーーーーっ!」 「おっ、ちょっと近づいてきたじゃないか。初雪はがんばり屋さんだな」 白々しく言いながら、ピストン運動をして子宮口を突き上げた。 「いっひいいいいいいぃぃいいいいっ!」 さらに大きな絶頂が初雪を襲い、がくがくと全身を痙攣させて背中が浮くほどにのけぞった。 ふと思い出して、パジャマを着たままの上半身に手を伸ばしボタンを外してやる。支給品だから 当たり前だが、色気もそっけもないシャツの下に、ノーブラの胸があった。 意識が朦朧としているのをいいことに、初雪を抱き寄せてするする脱がしてやる。これで お互いに一糸まとわぬ姿となった。 控えめな大きさの初雪の胸はしかし、一つ特徴があった。大きめな乳輪が、ぷっくりと第二の 胸のように盛り上がっているのだ。服の上から触ったときに分かっていたが、実際に見てみると なんともいやらしく、朴訥な初雪の隠された秘密を暴いたようでたまらなく興奮する。 休憩代わりに吸い付いてやると、はじけるように張りのある肌と、独特の柔らかさを持つ乳輪の 肉とが舌を楽しませてくれる。ちゅぱちゅぱと吸い付いていると、初雪に頭を抱きかかえられた。 「あっ、それ、だめっ、あっいっ、いっ……」 切羽詰ったような切なげな声をあげて、腰を動かし始めた。さっき散々いじめた子宮口に自ら 亀頭をこすりつけ、上り詰めていく。 「いくっ、いっくぅうーーーっ!」 俺の頭をぎゅうと抱え込み、身体を丸めて、初雪は絶頂した。数秒間そのまま全身を力ませたあと 脱力する。最後に一つ乳首にキスをして、俺は顔を上げた。 「よく出来たな、初雪。えらいぞ」 「はっ、はひっ……」 俺への返事なのかただの吐息なのか判然としないくらい、初雪は絶頂の余韻に浸りきっていた。 「じゃあ次は、初雪がさっきからくわえ込んでるこれの名前を言ってもらおうかな」 「はっ、はっ……おち、んちん……です」 真っ赤な顔でぼーっとしながら、反射のように初雪が応える。 「悪くは無いが……セックスの時は、ちんぽって呼ぶんだ」 「ち、んぽ……」 初雪の薄い唇から卑猥な言葉がつむがれ、我慢し続けてきた俺の射精感が増大していく。 「そうだ。これから動くから、それを呼び続けてくれ」 何度もの絶頂によってほぐれ、どんどん処女の面影が消えていく初雪の膣内に、射精するために 力強く腰を振る。 これまでより強い腰使いに、初雪はのけぞってセックスに集中し始めた。 「あっ、あーーーっ! ちんっ、ちんぽっ、ちんぽっ、ちんぽっ!」 滑稽なまでに俺の言いつけを守り、初雪が卑語を連呼する。その顔にはうっすらと笑みが浮かび、 妖艶ささえ感じられる。 「はあっ、初雪……イくぞ、俺と一緒に、いくんだぞ……!」 俺の腕の中で女になっていく初雪がたまらなく愛おしくなり、ぱん、ぱんと肉を打ち付けあう 音がするほど激しくピストンした。 「ちんっ、んんーーっ! ちんっ、ぽぉ! ちんっ、あっ、いくっ、ちんっ、ああっ! いくうぅうううっ!」 さっき教えたことを忠実に守った初雪が宣言すると同時に、絶頂時の膣のうねりの中で射精する。 「ひっああああああああああああーーーっ! あ゛ーーーっ!」 俺の脈動に合わせて、初雪も小刻みに絶頂しているようだった。狂ったように大声を上げて、初めて精液を 流し込まれる快楽を余すことなく俺に教えてくれる。 そのまま五分くらいかけて絶頂の渦から戻ってきた頃には、初雪はカエルがひっくり返ったような格好で、 全身を脱力させていた。 「どうだった? 初めてのセックスは」 思えば、雷にはこんなことはたずねなかった。どうにも、普段無口な初雪には何か言わせたくなってしまう。 「すごかった……です」 今も硬いままのペニスをくわえ込みながら、幾分か冷静になった初雪は顔をそらして口元を手で隠した。 「そうか。……これから先も、俺とセックスしてくれるか?」 一瞬だけ目を丸くしてから、顔を背けたままで初雪は頷いた。 「ありがとう。早速だけど、俺も一発じゃ納まらないし、もう一回、いいかな」 「ん……さっきみたいなのは、ちょっと、……気持ちよすぎて、こわい、かも」 「分かった。じゃあじっくりやろうか」 それから俺たちは、夜が明けるまでだらだらとキスをしたり、色々な体位を試したりしてセックスを続けた。 (今日の夜は、一体誰が来るんだろうな) そんなことを考えながら、バックから初雪の尻を掴み、何度目かの膣内射精を子宮に浴びせる。 「ちんぽぉ……いっくうぅううーーーっ!」 尻を高々と上げながら、だんだん明るくなっていく窓に向かって初雪が艶めいた絶頂の声を上げた。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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リセマラ以降の序盤の進め方紹介
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930 :名無しの紳士提督:2016/06/06(月) 00 48 38 ID 921OSk/2 渋やらニコ静やらでときどき見かける村について思いついたので投下します 若干ヤンデレ? 931 :930:2016/06/06(月) 00 52 19 ID 921OSk/2 「よう、久しぶりだな」 山奥の無人駅に迎えに来てくれた友人は、乗ってきた軽自動車のライトに照らされながら手を上げてそう言った。 訳あってこんな山奥までやって来たはいいものの、既に終電は無く、 途方に暮れていた私がこの辺に引っ越したと言っていた彼の言葉を思いだし、藁にもすがる思いで連絡したのが三十分ほど前だ。 「いやすまん。助かったよ」 助手席に乗り込み礼を言いながら、計器の光に浮かび上がる友人の横顔を見ると、その口には火のついていない細巻きの煙草が揺れていた。 「煙草いいかい?」 「ああ。いいけど……やめたんじゃなかったか?」 その言葉が口をついてから私はそれが失言だったと思い直したが、吐いた言葉は戻せない。 友人は苦笑いを浮かべている。 「これを嫌う奴も、もういないからな」 「ああ……すまん」 遅い謝罪を口にした私に彼は気にするなと言いながら煙を吐き出し、ライトだけが見える農道に車を走らる。 かつて彼は煙草をやめていた。彼の妻がそれをとがめたからだ。 無表情で物静かなその妻が彼の健康を案じてたしなめていたと聞いている。 車は三十分ほどで彼の家についた。 居間のソファーに腰かけた我々は、前から二人で会うとそうしていたように、他愛もない話をしながら酒を酌み交わす。 日付が変わろうかと言う頃、不意に彼の視線がテーブルの端に置かれた写真に注がれる。 仕方のない事だ。そもそも我々の出会いはそこなのだ。 写真には彼と、彼の妻と、その沢山の仲間たちとが写っている。 彼を中心に身を寄せ合い、皆嬉しそうな笑顔で。 その姿を見て、私は取るべき態度をとる。即ち、彼の気が済むまで黙っているという事。 いつの間にか二人の間に出来たルールだった。 昔話になり、当時を思い出し、それにふけりたい時はそうさせる。 彼は今、あの頃に、少将に戻っている。――私がたまにそうするように。 と言っても――これもまた私がそうであるように――長い時間ではない。互いに孤独にも慣れる。 一年前、我々は提督だった。 艦娘を率い、彼女らに囲まれ、深海棲艦と戦う日々。 多くの提督にとって、苦楽を共にした艦娘達には愛着や信頼と呼ぶには強すぎる絆がある。 銃後の家族とのそれをも上回る強い絆が。 だからこそ、戦いを終えた時多くの提督達は困惑した。 艦娘達と引き離された事、彼女達が忽然と姿を消してしまった事。それらの真相を知る上層部が一切を秘密とした事。 だがそれすら、時間の経過は薄れさせていく――筈だった。 「なあお前、こういう話を聞いたことないか」 それから暫くして、私は再びあの日と同じ無人駅にいた。 同じように終電は既にないが、誰にも連絡はせず、ホームに一人佇む。 あの日、友人から聞かされた話。曰く『どこかに艦娘が暮らす世界に行く方法がある』 最初私は全く信じていなかった。お互い酔っぱらっていたし、そんなのはよくある与太話だ。 誰もが望むが故に生まれてくる夢物語。東では西にあると言われ、西では東にあると言われるような類の話。 だがその話をした数日後、彼が一通のメールの後に行方不明になった。 そしてその最後のメールにはただ一言『辿り着いた』とだけ。 彼は精神を病んでいたのだと理性では考える。孤独に慣れたと思い込んでいただけで結局耐えられなくなったのだ。 だが同時に感情は希望的意見を主張する。 結果、私は試すことにした――どこかで自分も“辿り着く”事を望みながら。 あの日彼が語っていた方法――提督が終電を終えた無人の駅で待っていると、暗闇からダイヤには存在しない列車が現れる。 行き先表示も何もないその列車には乗客もなく到着時のアナウンスもないが、ドアが閉まるまで後ろを振り返らずに乗車するとその世界に行ける。 正直、信じているかと聞かれればノーと言わざるを得ない。 だがそれでも試さずにはいられなかった。宝くじだって当たらないと言いながら買うのだ。 僅かな希望にすがって試す。自分も“辿り着く”事を、即ち壊れてしまう事をどこかで望んで。 私も所詮耐えられなかったのだ。 「……」 だから目の前の光景が信じられなかった。 音もなくホームに滑り込んだ、古い一両編成の列車は、ぼんやりと明かりを真っ暗な無人のホームに照らしている。 そちらに行く 数日前のメールに返信すると、聞いていた通り振り返らずに中吊りも何もない列車に乗り込んだ。 静かにドアが閉まり、真っ暗闇の中を滑り出す。 不意に瞼が重くなり、規則的に伝わってくる揺れが眠りへと引きずり込んだ。 どれぐらいの時間が経ったのか、気が付くと私はシートに座り船を漕いでいた。 車内には日の光が満ちて、青々とした田園風景の中を電車はゆっくりと走っている。 カタン、カタンと規則的に揺られながら、穏やかな日差しに照らされてのどかな景色を見るでもなく眺めている。 これは夢なのか、それとも―― 不意に電車がスピードを緩め、田んぼの真ん中で停車した。 駅、と言うより土塁と呼んだ方が近いような土を盛り上げただけのホームが見えて、私は不意にここが目的地だったような気がして席を立った。 ホームには聞き覚えのない駅名が記されている。表記からして終点ではない様だが、この次の駅も前の駅も聞き覚えがない。 「どこなんだ?ここは……」 思わずつぶやく。 田んぼの真ん中に走る単線。駅の周りは田畑に囲まれ、まっすぐに伸びた畦道が続いている。 遠くを見ると高く緑の山々が連なり、この辺り一帯はその山々に囲まれた場所であることが分かる。 のどかで、知らない場所の筈なのにどこか懐かしい、日本の田舎のステレオタイプな風景。 「提督」 懐かしい声、懐かしい呼び名に振り返る。 ホームの端に忘れようはずもない人。伊勢。今は艤装を外している、私の最初の戦艦。 「お待ちしていました」 最後にあった時と同じ屈託のない笑顔。優しく、柔らかな声。 温かいものが一筋頬を伝った。 「行きましょう。皆待ってますよ」 感無量とはこういう事を言うのだろう。 これが現実なのか、それとも幻なのか、そんな事はどうでもいい。 何か言いたい。けれど胸がいっぱいで何も言えない。ただ彼女の背中を追う様に後についていくことしか出来ない。 涙で歪んだ視界をごしごしこすって畦道を歩く。 遠くに軽トラが走っていく。ぽつぽつと田畑の隙間に点在する民家。路肩に放置された泥だらけのトラクター。死にたくなるぐらい懐かしい風景。 そんな景色の中を歩き続け、野菜の無人販売所のある角を曲がった時だった。 「司令官!」 振り返った先には里山のふもとに建つ、木造一階建ての、この村同様古く寂れた学校。その校門の前に立つ一人の少女。 セーラー服姿で長いサイドテール。健康的な少し日に焼けた肌。屈託のない愛らしい笑顔。柔らかな懐かしい声。 忘れもしない。大切な娘。 「綾波……」 名前しか言えなかった。それ以上は泣き声にしかならなかった。 泣きながら、子供のように大泣きしながら彼女を抱きしめた。 「おかえりなさい、司令官」 綾波の声もまた涙ぐんでいたのは、気のせいではないだろう。 それから暫くして、私と綾波は広い居間に卓袱台を挟んで座っていた。 二人に泊まっていけと連れてこられた古い日本家屋は、先程の校舎からほど近い所に建っている。 「ゆっくり寛いでいてくださいね。夕食の準備してきますから」 「あ、ああ……、悪いな」 伊勢がそう言って台所に行ってしまい、私は綾波にいくつか尋ねてみた。 「ここはどこなんだ?」 「ここは、私達のような艦娘が暮らす村。司令官と引き離されてから、ここでずっと待っていましたよ」 艦娘が暮らす村。これが私の脳が見せている幻覚でなければ、友人の言っていた噂話は本当だったのだろう。 「そうか、私も逢いたかったよ」 「えへへ」 恥ずかしそうに頬を赤らめ照れ笑いを浮かべる綾波。 彼女達と同じ空気を吸い、同じ時間を生きている。当たり前だったことがこんなにも素晴らしい。彼女達と引き離されてからそのことを痛感していた。 そうだ。逢いたかった。逢いたかったのだ。 どんなに慣れたふりをしたところで孤独は孤独。一度でも彼女達の、艦娘の温もりを知ってしまった以上は、それの無い人生は苦痛でしかなくなっていた。 「他の皆もここに?」 「はい。今日はもうすぐ日が暮れますから、明日以降に伊勢さんが他の人たちに紹介するって」 そう言われて、猛烈な郷愁に襲われた。懐かしい皆の顔。彼女達にまた逢える。 成程、彼と連絡がつかなくなった理由もよく分かる。 ここに居れば、もう外界なんて、艦娘のいない世界なんてどうでもよくなってしまう。 「そうか、皆いるのか」 「はい。この家も私と伊勢さんと、今日は当番で加賀さんの所にいっている敷波と三人で暮らしているんです。鎮守府みたいで楽しいですよ」 そう言えば、この家は誰の家なのだろう。 田舎の農家と言って頭に浮かぶ、これまたステレオタイプな木造一戸建て。 広い敷地と相応に広い建物。今では珍しくなった縁側が、これまた珍しくなりつつある畳敷きの広い居間の前に設けられ、 その先に広がる庭の隅、垣根の足元に朝顔が――綾波と敷波のものにそれぞれ名札付きで植えられている。 その垣根の向こうには、夕日に照らされた田畑が絵画のように広がっている。 この家といい、あの田んぼや畑といい、乗ってきた電車といい、この村には不明な点が多すぎる。 そもそも、この村の正確な所在も何もわからない。 「あっ、それ」 私の目線が朝顔に注がれていると思ったのか、綾波が立ち上がり、縁側に移動しながら語り始めた。 「私と敷波で毎日お世話しているんですよ。きれいでしょ~」 追いかけて縁側に腰掛けた私の横に綾波もちょこんと腰かけ、朝顔を眺める。 紫色に変わりつつある空の下、垣根の向こうから虫の音が聞こえ始めた。 初夏の夕暮れ。静かで平和でのどかな時間。 二人並んで縁側に座っていると、その中に溶け込んだような、目の前の景色の一部になったような気分になる。 ここがどこか?そんな事はもうどうでもいい。 結局そのまま、「ご飯ですよ」と伊勢に後ろから呼ばれるまで並んでいた。 「敷波バスに乗り遅れちゃって、今加賀ちゃんの家で一緒にご飯食べてくるって電話があったから三人でご飯ね」 「は~い。三時間待ちは大変ですからね~」 「三時間?加賀の家そんなに遠いのか?」 伊勢とそんな話をしながら食器と料理を運んできた綾波に思わず聞き返す。 「まあ、山一つですから歩けば四十分ぐらいですけど、バスが三時間に一本しかないので……村のあっち側に行く時はバスを考えて動かないといけないんですよ」 どうやらこの村はこの辺り以外にも集落があるらしい。それにしても中々な田舎だ。 「さあ、提督もご飯にしましょう」 「ああ、悪いな手伝わなかった」 「気にしないでください。さあ座って」 味噌汁、冷奴、山菜の和え物に肉と野菜の炒め煮のような物が湯気を立てている。 「「「いただきます」」」 三人で囲む食卓、誰かと食卓を囲むなど本当に久しぶりだ。 伊勢の手による料理はどれも美味しかったが、この雰囲気の中でなら磯風だろうが比叡だろうが誰の手によるものでも最高の食事となるだろう。 「「「ごちそうさま」」」 久しぶりの、本当に久しぶりの楽しい食事。 「片付けは私も」 食器を片づける伊勢と綾波にそう言ったものの、二人から丁重に断られてしまった。 その結果一人残された居間。静かになるとじんわりと実感が込み上げてくる。 また出会えた。また一緒になれた。そう思うと自然と顔がほころぶ。 二人が戻ってきたらここがどこで、どういう所なのか詳しく聞こう。 この近くに住めるところを探して、この近くで仕事を見つけて、彼女達と一緒に生きて行こう。 もし許されるのなら、彼女達のこれからを、平和の中にいる彼女達を見守っていこう。 元の暮らしに戻る気はない。彼女達に再び出会えたのに、そんな事をする必要はどこにもない。 その決意が固まった時、不意に瞼が重くなった。 世界がぐるぐる回る。体から力が抜ける。 重力に逆らえず、そのまま卓袱台に突っ伏し、意識を失った。 どれぐらい時間が経ったのか、私は冷たい尻の感覚に目を覚ました。 温かく明るい居間は、暗く冷たい石造りの密室に変わっていた。 燭台の上でゆらゆらと揺れる蝋燭しか灯りは無く、天井に近い小さな明り取りの窓は固く閉ざされている。これではまるで牢獄だ。 その暗い密室に、私は全裸で転がされていた。 「気が付きましたか?司令官」 暗闇に慣れてきた目を声の方に向けると、先程までと同じ綾波の姿があった。 「綾波!?これは……」 答える代わりに綾波は私の懐に飛び込むと、しっかりと抱きつきながら唇に吸い付いた。 「むっ……!?」 突然の行動に驚いている私の唇をこじ開けると、そこに彼女の舌が滑り込み、私の舌先を舐めつけていく。 くちゅり、くちゅりと淫らな音を立てたそれは、突然の事に準備が出来ず息苦しくなった私が半ば突き飛ばすように離れるまで続いた。 「あ、綾波……、これは一体……?」 「うふふふっ、司令官。私の初めて、あげましたぁ~」 そういって無邪気に笑う綾波。だがその目は熱を帯び、興奮した獣を思わせる。 「お前、どういう――」 「ああ、気付いたんですね提督」 混乱の中、何とか発した問いかけはもう一つの声で中断された。 「薬よく効いていたからもう少し寝てると思ったけど……案外早かったですね」 「伊勢……薬ってお前……」 扉の開く音、足音に続いて近くの燭台に影がかがみ込んだ。 薄明かりに照らされた伊勢の顔が浮かぶ。 「美味しかった?私の自信作ですよ」 この異常事態、人を一人監禁しているという状況に不釣り合いな屈託のない笑顔。 その笑顔が、私の心を読んだように説明を語り出した。 「提督から引き離された後いろんな事があった。けど、皆提督の事が忘れられない。 提督と一緒にいたかった。こうして世間から離れて暮らしながらその事ばかり来る日も来る日も考えていた」 ゆらりとろうそくの灯が揺れ、伊勢の瞳に反射した。 その目もまた、興奮した獣のようにぎらついている。 「気付いてました?皆、提督の事が大好きだったんですよ。勿論私も」 男冥利に尽きるカミングアウトだが、今この時にしなくてもいいだろう。 「だから決めました。いつか提督がここを見つけてくれたら、皆でここから離れないように繋ぎとめようって、二度と離れないようにずっと一緒にいようって」 ここから離れないように繋ぎとめる。全裸にして監禁。綾波の行動。答えは一つしかない。 狂っている。 じっとりと脂汗が背中を伝い、不意に一物を柔らかいものが包み込んだ。 「うわっ!」 「大丈夫です。綾波に任せてください」 いつの間にかまたぐらに潜り込んだ綾波の手が私の一物を上下に扱き始める。 「ぐ……っ、綾波……やめ……っ!」 幼い手の細い指が何度も何度も往復し、そのくすぐったいような快感は言葉とは裏腹に一物を大きく隆起させる。 吊り上るほどに膨張したそれを、今度は先程初めて接吻したという口が咥えた。 チロチロと拙い舌づかいで根元から先端まで丁寧に舐め上げ、小さな口の中いっぱいに加えたそれを前後左右から刺激する。 やがて勢いがついたのか、綾波はチロチロと舐めるだけでなく、口全体で扱き始めた。 吸い取られるようなその動きにあわせて、一物は既にはちきれんばかりに怒張している。 最初は示していた拒絶も、もうこうなってくると何の意味もなさない。 快楽が全身を駆けあがり、脳を制圧した。 「んむっ!?むぐっ……、けほっ」 限界に達した白濁が一斉に飛び出し、綾波の口内を満たした。 恐らく予想以上だったのだろう。驚いた様子で口を離した綾波は少しむせ、顔にも少し白濁がついている。 「よーし、上手い上手い」 わしゃわしゃと、伊勢が綾波の頭を撫でる。 「えへへ、司令官すごいですね。こんなに沢山……」 そう言って彼女はとろんとした笑顔を私に向けた。 恍惚状態の私は何も言えず、ただ快感の余韻に浸りながら暗闇の中に浮かぶ彼女を眺めていた。 「あっ、皆来たみたい」 不意に伊勢がそう言って小さな戸口を開ける。 現れるいくつもの人影。いくつもの獣の目。 「おー、提督遂に来たんだー、いや長かったねぇ」 「僕達みんな、提督を待っていたよ」 「嬉しいなぁ、本当に来てくれた」 懐かしい声がいくつも口々に歓迎してくれる。 どれくらいの時間が経ったのか。暗いここでは蝋燭の長さでしか時間が測れないが、さっき見た時は新しいものに交換されていた。 今どれぐらいの長さなのかは目隠しされているのでわからない。 「んっ……、むぐっ……」 温かい舌が怒張した一物を丁寧に撫でまわす。 もう何人も体を重ねたはずだが、伊勢の薬には精力剤でも入っていたのか、全く衰える気配がない。 そしてまた、吸われ、扱かれ、舐めまわされ、温かい口の中に吐き散らす。 「ぷはっ、んむ……」 何度かやると慣れたのか、もうむせることなくそれどころか噴き出したものをさらに舐めとろうとチロチロとすぐに舌が動き出す。 「はい、今のは誰ですか?」 後ろから両手で目隠ししていた娘――多分吹雪が尋ねる。 「うーん。これは磯波……じゃないな、綾波だ」 「わっ、すごい三連続正解!」 脇の方でもう一人の声――こっちはおそらく深雪だ。 あれからどれだけ時間が経ったのか、新しい蝋燭もすでに半分ほどになっていた。 今なら分かる。友人の連絡が途絶えたのは、なにか問題があったからではない。 きっと彼も、彼の妻たちに歓迎されているのだろう。ここから歩いて四十分ぐらいの所で。 「えへ、綾波上手くなりましたか?」 吹雪の手が離れ、またぐらにかがみ込んでいた綾波がにっこりと笑う。その笑顔は在りし日に私が愛した娘の、記憶にある中で最高の笑顔と同じものだ。 「もう出ても大丈夫そうですね」 きゃっきゃっとはしゃぐ駆逐達の後ろから伊勢が姿を現した。 開け放たれた小さな扉からはまぶしい朝日が差し込んでいる。 もし、このペースで毎日彼女達と交わり、完全に絞り尽くされたら?その時は用済みとして始末されるのだろうか? それとも私がもう完全にここに繋ぎとめられていると分かったらこのまま置いておいてくれるのだろうか? (まあ、今はどっちでもいいか) 駆逐達に手を引かれて外に出ると、太陽に目がくらむ。 そう、どっちでもいいのだ。今やるべきはそんな事に悩むことではない。 建物の外には大勢の艦娘達が待っていた。 私は彼女達を全力で愛そう。これまでの空白を埋めよう。狂わせてしまったその責任は取ってやらねばなるまい。 彼女達の目が、優しく、綺麗な目が一斉に私に注がれた。 「「「「「「ようこそ、しばふ村へ!」」」」」」 終 +後書き 939 :名無しの紳士提督:2016/06/06(月) 01 21 41 ID 921OSk/2 以上スレ汚し失礼しました ゲーム中で言及(加賀の『赤城さん』等)が無い場合、戦艦組と空母組は結構フランクに呼び合いそうという妄想してたら加賀ちゃんと呼んでしまった 多分隣の駅はやどかり町 940 :名無しの紳士提督:2016/06/06(月) 08 57 48 ID b9DAmT4o 乙です なるほど、例の話としばふ村の合わせ技ですか 941 :名無しの紳士提督:2016/06/06(月) 20 05 35 ID irgmFds6 乙。しばふ村があるならやどかり村とかしずま村もあるはずだ! 942 :名無しの紳士提督:2016/06/06(月) 23 20 59 ID ZfNBQWDs 扶桑嫁提督の自分としては六花村(二人しかいないし六花屋敷?)監禁を希望する所存であります! じじ村だと比率的には2割の筈の駆逐艦がわらわら居そうで「ダメです」 943 :名無しの紳士提督:2016/06/07(火) 00 40 22 ID eBQT4Q4I bob村でなら骨を埋めてもいいなぁ これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/